パートナーの存在は幸せを左右するバロメーターになる

尾藤 克之

本田氏HPより。

最近、ニュースサイトで書籍紹介記事を見かけることが多くなった。私がアゴラで書籍紹介をはじめたのが約4年前になる。アゴラでは、「ビジネス著者養成セミナー」という著者希望者のためのセミナーを隔月、「出版道場」という出版希望者のニーズに応えるための実践講座を年2回ほど開催している。

その影響もあり、著者や出版社から献本される機会が非常に多い。こちらも、ビジネス書、実用書を中心にバリエーション豊富だが、実は扱うことが難しい分野がある。それは、「スピリチュアル」と「占い」になる。理由は根拠について学術的なエビデンスが得られないことや、再現性に乏しいことなどが挙げられる。

一方で、一般的には難しいが吟味をしたうえで掲載する分野もある。それが、「自己啓発」になる。自己啓発のなかでも、ふわふわとつかみどころが無いものは難しい。一方で、ビジネスや日常生活に役立つエッセンスがこめられているものは扱うことがある。本記事では、後者の「人生訓として価値がある一冊」を紹介する。

本田健/氏という、『ユダヤ人大富豪の教え』をはじめとする多くのベストセラーを執筆している作家をご存知だろうか。著書の累計は700万部を超している。今回は、新刊『これから、どう生きるのか』(大和書房)について解説をしたい。

パートナーの存在と関係性が重要

人の幸せをもっとも大きく左右する要素とはなにか?これについて本田氏は、「心から愛する人と一緒にいることで、人は幸せを感じるようになっていて、逆に、自分は愛されていないと感じると、すごく不幸になる」と表現している。

これは、自らの経験を踏まえればよくわかるだろう。目に映るものはすべてがバラ色で、相手のためなら命だって惜しくないという気分にすらなる。しかし、残念ながら、その夢見心地の時間は、短くて数ヶ月、長くても数年しか続かない。これは、多くの人が体験から知っていることではないだろうか。

この事例は、ほかにも当てはめることができる。会社であれば、入社したての頃はやる気に満ち溢れている。転職も同じことがいえる。自分が望んだ会社であえばなおさらだろう。すべてはバラ色に満ちて、明るい未来を描いている。ところが数ヶ月もたてば、会社の理不尽を理解し、こんなはずではなかったと思うようになる。

本田氏は、もっとも幸せな人(1番目)は「パートナーシップがうまいっている人」だと述べている。つまり愛する人と一緒に暮らしている人になる。意見の違いがあったりしながらも、お互いを理解し、サポートできる関係を持っている男女は、なんともいえない幸福感を感じながら生活をしている。非常にわかりやすい表現ではないか。

2番目に幸せな人は、「いいパートナーシップを持っていたけれども、パートナーが亡くなった人」になる。この人たちは、愛するパートナーの思い出を心に持っているので、寂しさを感じながらも、幸せに生きることができる。自分は愛されているという感覚を、パートナーが亡くなったあとも持ち続けているからである。

これも会社に置き換えてみたい。会社であれば、会社がなんらかのきっかけで倒産してしまった。合併してしまった場合が該当するだろう。その会社のことが好きであればよい思い出しか残っていない。合併した会社で社風や文化の融合がうまくいかないのは、いまは無き会社に愛着を感じているからではないだろうか。

様々な局面に照射すると見えるものがある

3番目は「パートナーがいない人」になる。パートナーがいなくても、楽しい友人がいて、面白い仕事をやっている人は、思いのほか幸せに生活できる。クリスマスやお正月など、寂しくなる時期さえうまくやりすごせば、そんなに不自由も感じない。

これは会社に属さない人が当てはまる。例えば、フリーランスの人などが該当するのではないか。少なくとも会社のストレスからは解放されるから、生活レベルが満足できるものであれば不自由は感じないのだろう。

そのうえで、本田氏は次のように結んでいる。

「パートナーシップの道は、ハイリスク、ハイリターンです。うまくいけば最高に幸せになれますが、失敗するとものすごく不幸になります。幸せになりたければ、幸せなパートナーシップを目指すことです。しかし、 パートナーシップが一時的にうまくいっても、関係がダメになると、この世界でもっとも不幸な人になります」。

非常に的を射た論である。本書は「人生訓」として読み解いていくと新たな気づきがあるように思われる。気がついたら、すでに立秋(8月7日)を過ぎている。秋の夜長に『これから、どう生きるのか』(大和書房)はいかがだろうか。

尾藤克之
コラムニスト

このたび、約3年半ぶりに出版をおこなった。タイトルは『007に学ぶ仕事術』。私は、献本された本を紹介記事にすることが多い。今回は記事が編集者の目に留まり出版にいたった。読者の皆さまへ感謝としてご報告を申し上げたい。

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