昨今の一流ビジネスマンは香りを使いこなすようだ!

尾藤 克之

右が小野氏、左はソーテック社の福田清峰編集部長。

アゴラでは、「ビジネス著者養成セミナー」という著者希望者のためのセミナーを隔月、「出版道場」という出版ニーズに応えるための実践講座を年2回開催している。私は、著者や出版社から献本されたなかで、ニュースとして相応しいものを紹介記事として掲載している。今回は、『最新!アロマセラピーのすべてがわかる本』を紹介したい。

著者は小野江里子氏、ソーテック社編集部長の福田清峰氏が手掛けた1冊になる。まだ、暑いさなか、福田氏にお会いした際に「最近の思い入れのある1冊」として渡されたのが本書になる。私自身が同分野に無知であることから、理解するまでに時間が掛かってしまった。本記事では誤解しやすいアロマの意味などについても簡単に解説したい。

アロマセラピーorアロマテラピー?

――「アロマセラピーとアロマテラピーの違いとは」「アロマは香りがするから“お香”みたいなもの」など、私は思い違いをしていた。どちらが正しいのだろうか。実はどちらも正解である。「アロマセラピー」は英語、「アロマテラピー」はフランス語になる。

「イギリスとフランスでは精油の使用方法に違いがあります。フランスでは医師が身体の症状を診断し、精油を使って治療をする場合があります。数は多くありませんが、自然治癒力を高めるために精油を薬の代わりに処方しています。一方イギリスでは、病気の予防や健康、美容のために日常生活の中で精油を取り入れています。」(小野氏)

「植物から抽出した精油は、国が違うと使い方も異なるのです。日本では精油を薬として使用することは禁じられていますが、医療分野で症状の緩和ケアとしてアロマセラピーが取り入れられていたり、リラクゼーションだけでなく幅広い分野で活用されています。精油は健康や美容面に有用性をもたらしてくれるのです。」(同)

――実際に、香りの効能は昔から活用されてきた。歴史ドラマを見ていると、眠れない時に、枕元に“りんご”を置いて鎮静作用やリラックス効果を高めるシーンを見かけることがある。これは、香りの効能を活用しているのだろう。病院のお見舞い用の果物として“りんご”が用いられるのも効能を期待してのことではないだろうか。

「最近では、ビジネスでも香りを上手に利用する人が増えたように思います。『やる気がみなぎり仕事や勉強に集中できる』といった気分や活動を左右するのは、神経細胞(ニューロン)がつくり出す脳内神経伝達物質の分泌量によるものといわれています。脳と密接な関係のある『香り』を上手に利用する人が増えているのです。」(小野氏)

「天然の香りを嗅ぐと、リラックス効果が高まります。例えば、『ラベンダーの香りを嗅ぐとリラックスする』というのは、近年の科学の進歩によって理論的に解明されていることです。嗅覚に関する実験は遅れているといわれていますが、近年になって、香りが人間の活動能力を高めることなが判明してきています。」(同)

一流のビジネスマンは香りを使いこなす

――実際に、私の知人でもアロマを使用している人がいる。仕事や時間効率を大きくアップさせることができるそうだ。香りには心地よさがあることは間違いない。リラックスすれば気分や感情を上手にコントロールすることが可能になる。

「新しい刺激的なことにチャレンジするとき、『がんばるぞ!』と意欲満々、ワクワクして気持ちが高揚するとドーパミンがたくさん分泌されます。しかし、同じことを何度も繰り返すことで脳が慣れてきてしまい、ドーパミンの分泌量が低下するようになります。このような時は分泌を促して、やる気をアップさせるのも効果的です。」(小野氏)

「例えば、なかなか気が進まないことに取り組むときに、ドーパミンを分泌させる香りを利用するのです。香りを嗅ぐことで勝手に脳からドーパミンが分泌されるので、行動と達成意欲を高めることができます。一方で精神を安定させる『セロトニン』が分泌されれば、精神を安定させ、平常心を維持することに役立ちます。」(同)

――香りを上手くコントロールできれば、仕事に良い影響を与えそうである。仕事ができる人物で思い出すのが、007ジェームズ・ボンドだ。一流の英国紳士は香りにも強いこだわりがある。愛用の香水は「FLORIS/No.89」だ。18世紀のお洒落な英国紳士達に絶大な人気を誇った香りは、英国王室御用達としても知られている。

拙著『007に学ぶ仕事術』のなかでも触れているが、ボンドガールのイメージフレグランスがある。『女王陛下の007』の「GUERLAIN/ルール・ブルー」、『カジノ・ロワイヤル』の「Santa Maria Novella/ザクロ(Melograno)」になる。この2作品は、ボンドガールがボンドと結ばれるが悲劇的な最後を迎える。関心のある方はご覧いただきたい。

さて、話を戻すが、男性は私のように「アロマ」の知識が少ない人が圧倒的だろう。「アロマに興味があるけど使い方がわからない」「アロマって実際はどうよ!」と半信半疑の人がいたらおすすめしたい。この1冊でアロマに関するすべての知識が習得できる。

参考書籍
最新!アロマセラピーのすべてがわかる本』(ソーテック社)

尾藤克之
コラムニスト

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