トランプ米大統領、北朝鮮や税制改革など国内外で様々な職務に追われる一方で相変わらず興味深いネタを提供してくれますね。
9月21日、国連総会後に開催した日米韓首脳会議で安倍首相にバースデー・サプライズを演出するなんて、さすがエンターテイナーです。おまけに、自身のツイッターの壁紙をその時の写真に変更しました。トランプ政権との蜜月関係については様々な意見が聞かれますが、日米の連携として捉えると安堵したくなる展開であります。
現場を捉えた写真を投稿したソーシャルメディア担当大統領補佐官、スカビーノ氏のツイッターによるとNY時間の9月24日午前11時で1.8万件のリツイート、2.6万件の言い値をゲットしました(以下はトランプ米大統領のツイッター)。
(出所:Twitter)
日米関係の距離が一段と近づいたかと思ったら、本国スポーツ界との亀裂は一段と深まりを見せています。
まずはNBA。チャンピオンチーム恒例のホワイトハウス訪問に対し2016〜17年シーズンの覇者ゴールデン・ステート・ウォリアーズのスター選手ステフィン・カリー氏が出席を固辞する姿勢を示唆。トランプ米大統領はすぐさま反応、売り言葉に買い言葉とばかりにチームの招待を取り下げてしまいました。チームも、これを受け入れることとなったのです。もともとトランプ政権に批判的なヘッドコーチのスティーブ・カー氏は「今の米国は私の生涯で最も分裂しており、恐らくベトナム戦争以来だろう」とコメント。NBAのコミッショナーはホワイトハウス訪問中止に落胆したとの立場を示しつつ、「重要な問題で選手達が正々堂々意見を述べることを誇りに思う」と述べていました。
NFLでも、トランプ米大統領との対立は明らかです。サンフランシスコ・49ersとの契約が切れたクオーターバックのコリン・キャパニック選手と言えば、昨シーズンのパス成功率は59.2%で2,241ヤード、タッチダウンも16回と申し分ない成績でした。しかし、人種差別反対の立場から国家斉唱での起立を拒否し物議を醸した影響が災いし、所属先が決まらない状況。NFLではキャパニック選手に倣い、昨年に続き国歌斉唱で片膝を立てるQBのポーズや起立しない選手が確認されています。これに対し、トランプ米大統領が国歌斉唱で起立しない選手を「解雇するか出場停止にせよ」とツイートしたから、さあ大変。
米大統領によるまさかの介入に、NFLからはコミッショナーのロバート・グッデル氏をはじめ多くの関係者から選手を擁護する声明をリリースしました。しかしながら、こちらをご覧下さい。
トランプ米大統領ツイッターへのいいねの数、10万件超えまであるのですよ。
(出所:Twitter)
保守的で愛国心溢れるNFLファンが賛同しているのでしょうが、キャパニック選手の国歌斉唱ボイコットが始まった2016年シーズン時のNFL視聴動向はリベラル寄りが多い北東部での落ち込みが最も激しい点は特筆すべきところ。
(出所:Awful Announcing)
米大統領選を挟んだ時期なだけに国歌斉唱問題だけが視聴者離れの理由ではないにしても、アメリカ人のポリティカリー・コレクトと本音が垣間見える一例と言えるのではないでしょうか。特に頂上戦となればアメリカ人の3人に1人が視聴する国民的スポーツなだけに、殊更意味がある。少なくともトランプ米大統領、主流メディアが描かないアメリカ人の心情を炙り出していることは事実です。
(カバー写真:Jonathan Moreau/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年9月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。