安倍総理の記者会見での争点設定は、どうやら失敗だったようだ

首相官邸サイト:編集部

ご自分に人気がある時にはこういう物言いもある程度はいいのだが、どうも昨日の安倍総理の記者会見は総理や自民党の足を引っ張ってしまいそうである。

麻生さんや総理周辺の方の耳打ちなり情報提供がどうも間違っていたのではなかろうか。

直近の世論調査で安倍内閣の支持率が不支持率より上回っていた、という報道はあったが、あれは一瞬のことで基本的な底流は安倍内閣の不支持率が支持率より若干上回っていたように思う。

内閣改造で問題閣僚の顔を見なくなった、豊田真由子氏の自民党離党で、あのハゲェー、という不愉快な音声を聞かないでも済むようになった、森友学園問題、加計学園問題で野党から厳しい追及を受ける場面が殆ど見られなくなった、野党の民進党が相変わらずの体たらく状態を続けている、などなどの状況が続いていたからその反射効果として安倍内閣の支持率が持ち直し、一時的に不支持率を上回ったというだけで、私が見ている範囲では本当に安倍内閣の支持率がグングン上昇しているような事実はない。

こういう状況であるに関わらず、安倍総理は昨日の記者会見で、この度の衆議院解散総選挙は、国難危機突破のための解散総選挙である、私を信任するかしないかの解散総選挙であると、獅子吼されたようである。

勇ましく、それなりにカッコいいのだが、どうも私にはこれがマイナスに働くような気がしてならない。

今の段階で、安倍総理を信任するかしないか、支持するかしないか、と問うのは相当に危険なことだったろうと思う。郵政民営化に賛成か反対か、といった小泉純一郎元総理に倣った争点設定だったようだが、私には、トラストミーと大見えを切って高転びをした民主党の初代総理の印象が残った。

いつ自分に対する不支持が支持を上回るかも知れないのだから、こういう物言いは止めておかれた方がよかった。

安倍総理の所信表明演説なしでの臨時国会冒頭解散だということだから、これからテレビに流れる映像は基本的に昨日の記者会見の映像だと思っていた方がいいだろう。

官邸も安倍総理も肝腎なところでマスコミ対策・広報戦略を誤ってしまったようである。

安倍総理を信任するかしないか、という究極の選択をすまられた時、一般の有権者はどう反応するだろうか。

今回の選挙は自民党にとっては相当厳しい選挙になるかも知れないぞ、というのが、現時点での私の感想である。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年9月26日の神道関連の記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。