こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
いよいよ解散総選挙の公示日を迎えまして、最後の最後まで「出るのでは?」と関係者・メディアを戦々恐々とさせていた小池百合子知事は、出馬を表明せず知事職に留まることが確定しました。
【衆院選】小池百合子氏の不出馬が確定 午後5時に立候補届け出が締め切られる – 産経ニュース
しかし、これで「めでたしめでたし」というわけでは当然ながらありません。
小池知事の「マジック」にかかると忘れがちになりますが、任期を3年近く残しながら都知事職を辞すなどそもそも考えられない話です。
知事でありながら国政政党を立ち上げ、その代表に就任することで都政が疎かにならないか?というのが議論の立脚点であり、私がかねてから問題視している点であります。
そして大変残念なことに、すでにその不安は的中しつつあると言わざるを得ません。
小池代表、初の街頭演説へ 公務はキャンセル相次ぐ(共同通信)
報道にもある通り、すでにいくつかの公務にキャンセルが出ています。
ただ、一歩譲って考えれば、知事と言えど政治家である以上は総選挙の影響は逃れられないものであって、仮に政党の立ち上げや党代表就任がなくて、ある程度こうした事態は避けられなかったとは思います。
しかしながら、私が懸念を通り越して憤りすら覚えているのが、「築地再開発=市場移転問題」に対するあまりにも心無い対応です。
知事は都議選直前の6月20日に、
「築地は守る、豊洲を活かす」
という基本方針を発表し、築地市場の跡地は売却せず、市場機能を一部に持たせることを含めた都主導の「再開発」を行うことを決定しました。
2020東京五輪大会も差し迫る中、この築地再開発の方向性などを話し合うために先月設置されたばかりなのが「築地再開発検討会議」です。
9月22日に委員が決まり、10月12日に最初の会議が行われる予定でした。
ところが、なんとこの委員の一人を「希望の党」がリクルートし、東京1区の公認候補者として衆院選に出馬させてしまったのです。
このため、当該の委員は10月4日に検討会議に対して「一身上の都合」という理由で、辞退届を提出しています。
まだ一度たりとも会議が開かれていない段階で、です。
候補者の方の人となりは存じませんし、ここでは個人を責めるつもりはありません。しかしながら、都政や築地市場移転問題という観点から見た場合、これは到底看過できない事態ではないでしょうか?
検討会議は知事の肝いりで設置されたものであり、当然、委員の最終的な任命権者は小池百合子知事です。
そして「希望の党」の代表は小池百合子知事であり、公認候補決定の最終意思決定に携わっていることは間違いないでしょう。
つまりどう贔屓目に見ても小池知事は、自ら任命した築地再開発検討会議の委員を、国政選挙を優先して候補者として引っこ抜いてしまったとしか考えられないのです。
これが都政軽視でなくて、いったい何なのでしょうか?都政の最大の課題である市場移転問題を、いったいどう考えているのでしょうか?
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私自身は従前から、市場移転については豊洲へ速やかに移転、築地は売却するというのがもっとも望ましい方向性であると考え、組織内でも度々意見の具申を行ってきました。
しかし、知事の最終決断は折衷案とも言える「築地再開発」。
それでも折衷案とはいえ一歩前進だし、またそれが都議選で民意の支持を受けた以上、その方針を実現すべく様々な観点から検討・調査を行わねば…と考えていたところです。
ところがここにきて、知事がこのような姿勢で築地再開発に臨まれるのであれば、それは市場関係者にも、築地再開発に期待を寄せた都民に対しても、重大な背信行為ではないでしょうか。
特別委員会や百条委員会を通じて、ずっとこの問題に取り組み続けてきた都議としても、知事のこの背信行為を看過するわけにはいきません。
次回の定例会では、何らかの形で本件を必ず追及していく所存ですし、都民ファーストの会を含めて、都議会は全体としてこの説明を求めなければおかしいと思います。
小池知事、これで本当に、「築地を守る」ことができますか??
都民の皆さまもぜひ、こうした客観的な事実を知っていただき、国政選挙のみならず都政に対して厳しいチェックの目を光らせていただければ幸いです。
それでは、また明日。
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おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 34歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員2期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年10月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。