スマートウオッチには、その日の運動量などが表示される機能が付いています。一週間単位で振り返ることもできます。
なぜこのような機能が付いているかというと「可視化」することによってモチベーションが上がるからです。
「今日はちょっと運動量が少ないから、少し歩こう」「今週は先週より少ないから頑張ろう」「うんうん、順調に上がってきているぞ」…等々、「可視化」によって得られる心理的効果はとても大きいのです。
私は、高校3年生の年明けから、計画と達成度を「可視化」することにしました。
それまで、やるつもりの課題の半分もできず、ことごとく計画倒れという失敗を繰り返してきたからです。
入試までの日数をルーズリーフノートの左端に縦に並べていき、その日の勉強に当てることのできる時間を1時間単位で割り当てました。
入試までの合計時間を計算すると、驚くほど僅かな可処分時間しか残っていないことに愕然としました。
教材に優先順位を付けてそれぞれの枠に当てはめると、諦めなければならない教材があまりにも多く、(まるで人生と同じように)「残された時間でできることは、本当に限られているんだな~」と(未成年のうちから)悟ったものです。
入試まで、日々一つのタスクを終えると、その都度ラインマーカーで塗りつぶしていきました。
数日後、自分がやってきた成果が「可視化」されているのを見て、「きちんとやっているじゃないか!」「着実に進んでいるぞ!」と、満足感を得ることができました。
この方法は、拙著「最強の勉強法」で詳しく紹介しましたが、司法試験受験を決意した時に読んだ「資格三冠王」という本に、「虹の進度表」として同じような工夫が書かれていたのに驚きました(私にとっては完全に偶然の一致でした)。
何事もそうですが、漠然と何かをやろうとしているとき、「無限の時間」があり「莫大な分量がこなせる」と思ってしまうのが人間です。
しかし、実際に計算すると、残された可処分時間はあまりにも少なく、やれることは本当に限られているのです。
各人別の営業成績をグラフに「可視化」して職場に貼っておくのは、営業担当者を頑張らせるための工夫なのでしょう。
もっとも、グラフを見てうつ状態になってしまう悲観的な営業担当者もいるので、「全面可視化」をするかどうかは、部下の性格等を考慮して慎重に判断すべきです。
裁判官は「落とした事件数」が多いほど評価されます(だから判決文を書かずに落とすことのできる「和解」が大好きなのです)。
ひと昔前、東京地裁の所長室には各裁判官がその月に落とした事件数をグラフにして貼ってあったと聞いたことがあります。
真偽の程はわかりませんが、所長室は個室なので見る人や見る機会は限られます。
当時の所長は、各裁判官に対して、それなりの配慮をしていたのかもしれませんね。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年10月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。