読者の皆さまは、クレジットカードをお持ちだろうか。クレジットカードの「クレジット」には、「信用、信頼」という非常に重い意味が込められている。できることならば、クレジットカードの特性を理解したうえで賢く使用したいものだ。
今回は、ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、1級FP技能士)、社労士として活動している、川部紀子(以下、川部氏)に、クレジットカードのつかい方について話を聞いた。近著に『家計簿不要!お金がめぐる財布の使い方』(永岡書店)がある。
キャッシング、リボ払い、カードローンは危険
――冒頭で、クレジットカードの「クレジット」には、「信用、信頼」という意味があることを説明した。これについて、川部氏は次のように答える。
「お財布にはこの『信用、信頼』が収められることになるわけです。また、Creditという言葉には、『信用貸し』という意味合いも含まれます。クレジットカードを使うということは、あなたを信用して立て替えてくれているということ。つまり、カード会社に対する立派な『借金』になります。さらに、分割払いには危険がいっぱいです。」(川部氏)
「3回払い以上やリボ払いに手を付けてしまうと、一般的な会社員などは病気に罹ったようなもの。収入以上の買い物をしたようなものですから、貯める以前の問題です。この払い方を利用した時点で、クレジットカードのお得度はゼロ。あなたを信頼して立て替えておきますねと言ってくれたたカード会社もあなたを疑っています。」(同)
――これは友達との貸借を考えるとわかりやすい。例えば、飲み代が足りなくて友達から1万円を借りたとしよう。来月給料日に返すと話していたのに、「いやー、1000円ずつ10回払いでいいかな?」と言われたら「冗談じゃない」と思うだろう。
「リボ払いなんて、いつまで返済を待たせるのか本人もわかっていません。カード会社も手数料を取らないとやっていられません。その手数料は、10~18%です。ピンと来ない場合は消費税を思い浮かべましょう。消費税が2%上がることで大騒ぎになる中、はるかに多い手数料を払って買い物をする感覚をどう思いますか。」(川部氏)
「リボ払いに、既に足を踏み入れてしまっているなら、早く抜け出さないと大変です。そのうえ、キャッシングまで行くと、治療が必要なほどの病気に罹ったのと同じです。もしも、ギリギリの状況であれば、ここに手を出す手前で何とか死守してほしいと思います。利用したら次なる『借金』に膨れ上がってしまいます。」(同)
――現実的な問題として、お金が原因で命を絶つ人も少なくない。その入り口が、リボ払いやキャッシングと言っても言い過ぎではないと、川部氏は警鐘を鳴らす。さらに、キャッシングやカードローンの金額が増えていくと、返済に追われた綱渡りの生活に陥り、少しずつむしばまれていく。充分に理解しなければいけない。
「がんばった自分へのご褒美」は危険である
――買った物に対して、「がんばった自分へのご褒美」という表現がある。昔から使われている表現ではあるが「無駄遣いが9割」だと川部氏は注意を呼びかける。
「この言葉、誰がいつ頃考えたのかわかりませんが、なんて優れているのだろうと思います。かなり前から使われているので、手あかが付いたキャッチコピーです。それにもかかわらず、買い手側が勝手に言葉を使うのですから、このコピーを考えた人は、売り手側の『神』です。では、買い手側にとってはどうでしょう。」(川部氏)
「結論から言うと、『無駄遣いが9割』です。本人が一番わかっています。なぜなら、通常の買い物をするのに理由付けなどいりません。『必要だから買う』『欲しいから買う』、それで良いわけです。わざわざ『がんばった自分へのご褒美』という、大義名分を与えるということは少し無理のある買い物であることが明白です。」(同)
――たしかに、支出に対する強引な正当化、他の人への言い訳など、あらゆる後ろめたさが感じられる台詞である。では、どうすべきか?
「個人的には、せっせと節約してコツコツ貯めるような女子よりも、素敵なものを見つけて買ってしまう女子のほうが微笑ましいと思います。しかし、そんなことを繰り返して、カード地獄に陥ったり、借金で結婚が破談になったり、親や兄弟に肩代わりしてもらって大切な家族に迷惑をかけることは好ましくありません。」(川部氏)
「がんばった自分へのご褒美で人生にサビを作らないでください。『がんばった自分へのご褒美』と脳裏に浮かんだ時、それはブレーキを踏むべき瞬間です。」(同)
――これからの、年金減額、増税を控えた時代をどう賢く生きるかはあなた次第でもある。「キャッシング」「リボ払い」「カードローン」、さらには、「がんばった自分へのご褒美」は要注意である。思いあたる方はこの機会に見直してはいかがだろうか。
参考書籍
『家計簿不要!お金がめぐる財布の使い方』(永岡書店)
尾藤克之
コラムニスト
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