性格を知りたければ、その人の車と運転を見なさい

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。
東京から熊本県に移住し、毎日車の運転をしている私はここに来て気づいたことがあります。それは車と運転にはその人の本性が現れるというものです。

なぜ東京に住んでいる時にそれに気づかなかったのか?それには東京の自動車保有率の低さによります。一般財団法人 自動車検査登録情報協会 「マイカーの世帯普及台数」 (平成26年3月末現在)によると、東京都の自動車保有率は23.2%で全国の中でもっとも自動車の保有率が少ないと言われています。

私が東京で付き合いのある人はほとんど車を持っていなかった(年収に関わらず)ので、その人の持っている自動車や運転を目のあたりにすることがありませんでした。しかし、ここ熊本県では一人1台車を持っているのが当たり前、うちの家には人より自動車が多い状態です(笑)。従業員や友人や親戚などが乗っている自動車や運転を見ることでその人となりが出ていると感じるのです。

「運転すると人が変わる」という間違い

よく、「運転をするとガラリと人柄が変わる」ということが言われます。しかし、その言葉は正しくありません。正確には「その人の心の奥底が運転に現れる」です。

物事にスピードを求め、ビジネスも会話も投資もスピーディーでテンポを重視する私は、運転にもその性格がよく出ていると自分でも感じます。とにかく計算通りにサクサク進みたいと思ってしまいます。一方、慎重でおっとりした性格の奥さんは、運転も彼女の性格がそのまま出ていてゆったりと安心して乗っていられます。運転が好きな親戚の方はずっとBMW、一度も他の車を買ったことがないそうで、とにかくBMWの乗り心地が好きなのだといっていました。

こちらで知り合った方の中に大人しい女性がいます。彼女は普段物静かで、あまり自己主張をせず、言われたことを素直に受け取る方だと思っていました。しかし、彼女の車を初めてみた時の私は衝撃を受けました。どこからどう見てもヤンキー車にしか見えません。デカデカと車体に貼ったステッカー、改造されたライト、スモークカーテン、所狭しと並べられたぬいぐるみなどなど…。そして運転も荒々しく、始終イライラしながら急発進急ブレーキという運転です。話を聞いてみると、普段の彼女は都会から来た私の前では猫をかぶっていて、昔は車や運転に現れているようなやんちゃな方だと後から聞かされました。

運転をすると人が変わるのではありません。その人の本性は対面では隠されていても、車と運転に全部現れているのだと思います。

その人を知りたければ車と運転を見ればいい

また、車のお手入れもその人の性格がバッチリ出てしまうと感じます。義理の父は新車で買って10年以上白いカラーの同じ車に乗っています。ですが、どこからどう見ても10年来乗っている自動車には見えません。いつもピカピカに手入れがされていて、かすり傷一つついておらず、パッと見て新車にしか見えないくらいキレイです。かたや、だらしない性格の人はやっぱり車内もだらしなさが出ていて、食べかけのお菓子の袋が転がっていたり、タバコでシートに焦げた後がついていたりと、使用感満載という感じです。

普段、身につけているものを小奇麗にするということは大抵の人がやっています。そこではあまり差が出ませんが、車には思いっきりその人の性格が出ているなと感じます。ですので、その人を知りたければ私はその人の車と運転を見させてもらえばいいと思っています。車のお手入れも運転の仕方も一朝一夕に変えることが出来ません。これは「食事を見て育ちをチェックする」に通ずるところがあります。隠しきれないその人の性格がたちどころに現れることでしょう。

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。