【映画評】探偵はBARにいる3

渡 まち子

提供:東映 (C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

アジア最北の歓楽街・北海道・札幌、ススキノ。この街を知り尽くす探偵は、相棒の高田の後輩から行方不明になった女子大生・麗子を探してほしいとの依頼を受ける。軽い気持ちで引き受け、調査を進めていくと、彼らは怪しげなモデル事務所の美人オーナー・マリにたどり着く。マリの後ろには、札幌経済界で頭角を現している北城グループの社長であり、裏社会で暗躍する冷酷非道な北城という黒幕がいた。謎に包まれたマリに翻弄されるうちに、探偵たちはマリの巧妙な罠に落ち、さらに大きな事件に巻き込まれていく…。

提供:東映 (C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

大泉洋と松田龍平が凸凹コンビに扮する人気シリーズの劇場版第3弾「探偵はBARにいる3」。行きつけのバーを根城にする軽妙な探偵と、武闘派でぶっきらぼうな相棒・高田の名コンビぶりは、このシリーズの最大の魅力だ。さらに札幌・ススキノを舞台とした、ちょっと大人の“ご当地映画”としても魅力がある。今回も、旧知のヤクザや新聞記者ら、おなじみのメンバーが登場。加えて本作のキーパーソン、北川景子扮するマリはお約束の訳ありの美女だ。しかもマリには、命懸けの思いがある。悲しい過去を背負う謎めいた美女マリからの、ある依頼が、どんなにヤバいものであっても、人情派の探偵がこれを断るわけはない。かくして探偵と高田は、覚醒剤がからむ危険な事件に巻き込まれていく。

アクションや暴力シーンはあっても、全体のトーンはハードボイルド風味のコメディーというのが、このシリーズの持ち味だ。監督は橋本一からNHK出身の吉田照幸に交代したが、いい意味でのユルさが引き継がれているので、安心感がある。同じコンビ、同じ街。でも今回は、探偵と高田の“別れ”という切ない要素も。噛み合わないようでいて、信頼関係で結ばれている探偵と高田の男同士の友情に憧れる人も多いのではないか。冬の北海道、猥雑なススキノにこだわり、日ハムの栗山監督まで登場するこの第3弾、4年ぶりだが、安定の娯楽作だった。探偵の少し寂しげな背中が、いつもながら愛おしい。
【65点】
(原題「探偵はBARにいる3」)
(日本/吉田照幸監督/大泉洋、松田龍平、北川景子、他)
(最後の事件度:★★★☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。