田園調布よりも清澄白河がブランド住宅地になる可能性

内藤 忍

今週発売の週刊東洋経済(12月9日号)のテーマは「駅・路線格差」。大都市圏の人口動態について、乗降客数や人口増減から考察を行っています。

その中で興味深い流れは東京23区で西から東に重心が移動していると言う「大逆転」です(写真)。

記事によれば、東京都心の5年間の人口増減を見ると、千代田区、港区が圧倒的に多く、それに続いているのが中央区、台東区となっています。都心3区はともかく、意外なのは台東区です。

台東区は、平均所得水準が東京23区の中で16位。住んでいることが、必ずしもステータスになるエリアではありません。台東区の中で人口増加が著しいのは、蔵前、浅草橋、御徒町など都心への利便性が高い地域です。

また、同じ東部の江東区も5年間で8.1%の人口増ですが、増加しているのは豊洲地区や門前仲町、東陽町、清澄白河、森下、住吉など、都心へのアクセスが重視されていることがわかります。

今まで、東京の住宅地は、山の手と呼ばれる世田谷、目黒、杉並といったエリアがステータスで、東側は格下だと見られてきました。

しかし、最近の人口動態から見えてきた変化は、ステータスよりも利便性を重視する実利志向です。高級住宅地とされているところでも、都心へのアクセスで利便性に劣るエリアは人口が減少し、人気が無くなりつつあるのです。

例えば、田園調布は高齢化と開発規制から住宅地としての魅力が低下していく可能性が高いといえます。ブランドイメージの高い世田谷区も交通の便の悪い場所は、地価の下落や人口減少のリスクが高まってきました。

鉄板といえる東京23区の不動産にも将来の格差の予兆が見えてきました。都心6区(千代田、中央、港、渋谷、新宿、文京)のような中心部は、当面心配しなくても良いと思いますが、それ以外の23区は投資エリアの吟味がこれから重要になってきます。5年先、10年先を見通した不動産価値を想定することが後から後悔しない不動産投資のポイントです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。