「ハイエナとカメレオン」から投資家が学ぶべきこと

内藤 忍

私が尊敬している「伝説の相場師」の方は、投資家に必要な資質として「ハイエナとカメレオン」という例えを出していました。

ハイエナは「サバンナの掃除人」と呼ばれることもあります。他の動物が食べられないような死肉を噛み砕き、消化吸収できる能力を持っているとされています。ハイエナのような投資家とは、他の投資家が諦めてしまうようなマーケット環境でもどん欲に収益を狙って、リターンに対する執着を持つことを指しています。

自分が必要な獲物を得るためなら、手段を選ばないハイエナのように、投資の方法や投資対象にはこだわらず、収益を得るためなら法律で合法であれば何でもやる。その情熱を持ち続けることが、投資の成果につながるのです。

もう1つのカメレオンというのは、周囲の環境によって体の色を自由に変えていく動物です。カメレオンのような投資家とは、相場環境の変化に自在に自分を変えていけるような能力を持った人のことです。

相場環境や投資対象というのは時間と共に目まぐるしく変わっていきます。かつては資産運用と言えば株式と債券で分散投資をすれば良かった時代もありましたが、今や不動産をポートフォリオに組み入れるのは機関投資家でも当たり前になってきました。また、ビットコインを始めとする仮想通貨も、数か月前までとは市場における位置づけが変わってきています(写真は仮想通貨取引画面)。

このようにマーケット環境が変化しているのに柔軟に対応し、過去にとらわれない行動をすることが投資家には重要なことになるのです。

投資家に必要なのは、ハイエナのように儲かりそうなものに食らいついていく粘着性と、カメレオンのように変化に対応して豹変する柔軟性です。このような投資家になるのは簡単ではありません。ハイエナのように1円単位のギリギリまでの収益にこだわり続けたり、カメレオンのように言っていることをコロコロ変えるのはどちらも恰好悪いからです。

しかし、資産運用の目的が「恰好良く見られる」ことではなく「収益を上げる」ことであるのなら、どのように行動すべきかは明らかです。ハイエナとカメレオンの2つの資質を持ち合わせることは簡単ではありませんが、資産運用を続ける限り、心の片隅で常に忘れないようにしたいものです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。