しみじみと深いアメリカ映画を観ました。舞台はアメリカですが、監督をはじめとするスタッフはイタリアから。70歳を超えた老夫婦が主人公の「ロング、ロングバケーション」という作品です。
元大学の教授でアメリカ文学に造詣の深いアルツハイマーの夫と末期がんの妻が、病院で治療させようと心配する子どもたちに黙って、ボストンの自宅から古いキャンピングカーに乗って、フロリダのキーウェストのヘミングウェイの実家に向かって旅に出る物語です。
全体のほとんどは、主演のヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドの2人のやり取りになっていますが、この2人のリアリティのある演技が何とも素晴らしく、笑いありそして涙ありで、飽きさせません。最後の結末は、賛否両論あるでしょうが、悲しさよりも幸福感に包まれる不思議な安堵感を感じたのが、自分でも意外でした。それは、この老夫婦が本当に幸せに人生を生き抜いたことに納得感があったからだと思います。
映画では美しく描かれていますが、現実に目を向けると、世界的な長寿社会になって、肉体は元気なのにアルツハイマーのような病気に苦しんだり、経済的に追い込まれたり、伴侶や友達もおらず孤独に苦しく人など、老後の生きていること自体に悩んでいる人たちが急増しています。
体が衰えて、現役時代にできたことが、できなくなってしまう。頭が思うように働かなくなり、自分のやりたいことができなくなってしまう。老いを感じるごとに意識する悲しい現実です。しかし、長く生きることが悲しくなるような人生にしてはいけません。そうならないようにするためにはどうしたら良いのか?以前に書いたこのブログの内容を思い出しました。
人生50年が人生70年になり、これからは「人生100年時代」になっていきます。環境の変化を先取りして、自分自身の未来の設計図をしっかり作っておく。そうすれば、人生の後半戦は辛くて苦しいものではなく、楽しく希望に満ちたものに変えられます。
「ロングロングバケーション」という映画タイトルを検索すると「ロングバケーション」という昔の日本のテレビドラマが出てきました。木村拓哉さんと山口智子さんが共演した1996年の大ヒット作品です。良く似ている名前ですが、そこに描かれている世界は世代も価値観も全く異なるものです。
ただ確かなことは「ロングバケーション」に出演していた人たちも、いずれ「ロング、ロングバケーション」のような世代になるということです。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。