一般教書演説、翌日の株価はどうなる?

米国時間で1月30日、日本時間の翌31日朝に予定する内容は、1.5兆ドル当初予定の1兆ドルを超えるインフラ投資が柱となる見通し。事前に1.7兆ドル説が報じられましたが、国家経済会議(NEC)のゲイリー・コーン委員長がCNBCに出演し明らかにしました。

それでもダウは序盤に300ドル近くも下落し、2日間での下げ幅はBREXIT以来という有様。24時間前に放ったゴールドマン・サックスの警告が現実となりつつあるかのようです。

GSのピーター・オッペンハイマー主席グローバル・エコノミストは、顧客に対し「調整のサインが点灯中」と指摘していました。低インフレ環境と緩和的な金融市場動向により弱気相場に突入するリスクは低いものの、数ヵ月以内に調整入りする可能性があるいいます。

では、どれほどの期間にわたってどれほど下落するのか。強気相場の最中に調整入りする場合は「平均で4ヵ月以内に13%下落する」ものの、「4ヵ月程度で下げ幅を帳消しにする」のだとか。2016年の年初に原油安を受けて急落した当時も、約10%下落した局面ですぐに切り返した記憶が甦りますね。

ツイッターで米株高を喧伝し続けてきたトランプ大統領にとって、一般教書演説直前の下落はグッドニュースとは言えないでしょう。しかし、大統領はそれほど気にしていないかもしれません。トランプ大統領が2017年2月28日、上下両院合同会議で演説を行った翌日の3月1日にダウは1.46%高を示し、2日後の3月2日には21,000ドルの大台を突破していました。

今回も、米株は上昇で反応するのでしょうか?少なくとも過去を振り返ると、一般教書演説(就任直後の議会演説を含む)の翌日に大幅高を迎える可能性は低い。ケネディ大統領から58回に及ぶ一般教書演説翌日のダウのリターンは0.06%安と、ほぼ横ばいにとどまります。1%以上の上昇を遂げたのは、そのうち5回に過ぎません。トップは1991年のブッシュ大統領(父、3年目)で1.9%高を遂げ、2位はITバブル崩壊後の2002年のブッシュ大統領(1期目、2年目)で1.5%高と続きます。トランプ大統領の就任直後の議会演説でのリターンは、前述通り1.46%高で堂々3位に入りました。

逆に最悪はITバブル直前にあたる2000年のクリントン大統領(2期、3年目)で2.62%安、次いで2016年のオバマ大統領(2期、4年目)の2.21%安、1989年のブッシュ大統領(父、1年目)の2.21%安となります。

以下は、ケネディ大統領以降のダウのリターンです。



(作成:WSJよりMy Big Apple NY)

なお、1981年にカーター氏とレーガン氏の2人の名前が並ぶ理由は、修正第20条で任期切れの大統領に一般教書演説の機会を与えられているためで、これを行使したのは後にも先にも、カーター氏のみだといいます。さすがに演説ではなく、声明でした。この日を除いても平均リターンは0.06%安なので、豆知識として残しておいて損はないでしょう。

(カバー写真:Youtube


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年1月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。