「ねこブーム」が到来している。(一社)ペットフード協会の「2017年全国犬猫飼育実態調査」によれば、犬・猫の推計飼育頭数全国合計は、1844万6000頭(犬:892万頭、猫:952万6000頭)であることが明らかになった。犬の飼育頭数はここ数年減少傾向にあり、今回の調査でも、猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を上回る結果となった。
「ねこブーム」の影響だろうか、「ねこ背矯正ブーム」も到来しているようだ。amazonで調べたところ、書籍関連は約100冊程度が確認できる。今回は、『ねこ背は10秒で治せる!』(マキノ出版)を紹介したい。著者は小林篤史さん。柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の3つの資格を駆使する「ねこ背を治すプロ」でもある。
日常生活で配慮すべきこと
小林さんは、ねこ背にならないために「鏡を見る習慣をつける」ことをあげている。鏡を頻繁に見ることで自分の姿勢が視覚にインプットされる。姿勢が悪ければ、姿勢を治すための行動をとる。つまり、ナルシストになればいいとも言える。
「皆さんにぜひ心がけてほしいのが、鏡を見る習慣をつけることです。重症のねこ背の人の場合、感覚的に姿勢がよくなったと感じても、実は良くなっていないケースが少なくありません。ねこ背の人にとっての楽な姿勢というのは 形状記憶されています。その形状記憶が完全に書き換えられていないうちは、鏡を見る習慣が必要なのです。」(小林さん)
「姿勢がよくなっているかどうかチェックすることが大切なので、毎日、定期的に鏡を見て自分の姿勢を確認してください。私も毎日、鏡の前に横向きに立って、骨盤の位置や、背骨のカーブなどチェックしてます。」(同)
姿勢の確認をしたら、次はイスをチェックをしたい。正しい姿勢の大原則は、骨盤をまっすぐに立てること。これは、座るときも変わらないようだ。
「イスに座ったとき、骨盤をまっすぐ立てるためには、お尻の穴が真下を向くように座ることがポイントです。新たなイスを選ぶ際にも、この原則を守りやすいイスを選ぶことが必要です。座面の高さが、ひざ下の長さよりも高すぎたり低すぎたりすれば、骨盤をまっすぐ立てて座りにくくなります。」(小林さん)
「ひざ下の長さと座面の高さが同じくらいのイスを選びましょう。なお、座面がツルツルしたイスはお勧めできません。お尻が滑るため、骨盤をまっすぐに立てて座りにくいのです。子どもたちの姿勢が悪化していますが、その悪い姿勢を誘発しているのが、小学校のイスのせいではないかと私は疑っています。」(同)
ねこ背にならないチェック項目
小林さんは、イスがフィットしないと、子どもはだらしなく座りがちになる。そうなると悪い姿勢を引き起こしてしまうと主張する。
「座面が柔らかすぎるのも考えものです。フカフカのソファで正しく座ることは難しいでしょう。ねこ背を治そうとしている人は、リラックスするために利用する場合を除いて、柔らかいソファを長時間使うことはお勧めできません。ほかにも、歩き方で注意することがあります。大股で踏み出し、腕を振って歩くようにしましょう。」(小林さん)
「そして、足のかかとから着地します。試していただくとわかりますが、背中を丸めて大股で歩くのは難しいものです。大股で大きく腕を振って歩くと、自然と背すじが伸びてきます。そして靴選びも重要です。ハイヒールは、骨盤前傾を引き起こします。通勤時だけでも歩きやすい運動靴を使用するなどの工夫をしてください。」(同)
他にも、「枕を正しく選ぶ」ことも大切である。枕は高すぎても低すぎてもいけない。リラックスして寝ることができるものが望ましいが、顔の面が枕をしてあお向けになったときに、ベッドの面と平行になるのが、枕の適度な高さのようだ。参考にしたい。
ねこ背が治ると印象が変わる
ねこ背がよくなり、背すじが伸びると、考え方や生き方にも影響を及ぼすことがある。まず、ねこ背では第一印象がよくない。「自信がなさそう」「老け込んだ印象」に見えてしまう。しかし、背筋がピンと伸びれば、見違えたように自信たっぷりに見えるようになる。仕事をしているなら第一印象が重要であることには間違いない。
ねこ背の原因は身体の硬さにある。ねこ背を治すストレッチも試してみよう。さて、筆者も1月に新しい本を上梓した。ご関心のある方は、「ねこ背」にならないように、手にとっていただきたい。『あなたの文章が劇的に変わる5つの方法』(三笠書房)。
尾藤克之
コラムニスト