日本で仕事をするビジネスパーソンにとって東京大学(東大)を頂点とする日本の有名大学に入学するメリットは、今まで2つあったと思います。
1つは、就職時に日本の大手企業への就職が有利になることです。大手商社やメガバンクをはじめとする大手金融機関等の人気企業は、東大を始めとする有名大学を中心に採用を行ってきました。それなりの大学に入らなければ、そもそも入社面接さえしてもらえない。そんな差別があったのです。新人時代に採用の手伝いをしていた時は「とにかくどんな奴でも良いから、東大出を連れてこい」とハッパがかけられたのを覚えています。
もう1つのメリットは、有名大学出ていると、入社してからも何となく頭が良いと思われ、過剰評価をされることが多かったことです。
以前の勤務先にもトンチンカンな東大卒の先輩がいましたが、的外れな発言もその人が言うと「きっと何か凄いことを考えているに違いない」と勘違いされる(笑)。先入観というのは恐ろしいものです。
しかし、これから日本の有名大学には、そんな2つのメリットがなくなってきます。
まず、日本の大企業に就職することにはあまり魅力がなくなり、有能な若者はグローバル企業で仕事をしたり、自分で起業するようになります。
さらに、日本の大学の世界的な評価が下がり、優秀な人材が集まらなくなれば、「東大卒=優秀」というバイアスがかかった過剰評価も減っていきます。
日本経済新聞電子版の記事によれば、イギリスの教育誌のアジアの大学ランキング調査で、日本の大学の最高位は東大の8位。100位以内に入った日本の大学は京都大や大阪大など11校で、早稲田大学、慶応大学といった「日本の」有名大学は入っていません(図表も同紙から)。
確かに、この手の調査には手法や評価基準に対する批判はあるかもしれません。しかし、トレンドとして日本の大学に肩書を得るためだけに入学するメリットは、薄れています。そして、これから更に加速する流れだと言えるのです。
そもそも、大学に入るまでよりも、大学を卒業してからの人生の方が圧倒的に長く濃密です。学生時代に何をやったかも大切ですが、ビジネスパーソンにとっては社会人になってから、どんな仕事にチャレンジしてきたかの方が圧倒的に重要だというのは、考えてみれば当たり前のことです。
日本の常識は世界の非常識。また世界の常識に日本の社会で気が付き始める人が増えてきました。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年2月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。