重大な決断の前には、不快な情報にも目を向けよう!

人間というものは、概ね自分にとって心地よい情報ばかりを集める傾向があります。

逆に、不快な情報からは目を背けがちです。

例えば、就職先が決まった学生は、自分が就職する会社が「いかに将来性があるか!」「いかに仕事にやりがいがある!」というプラスの情報ばかりに目を向けてしまい、「仕事量が多くて残業ばかり」などというマイナスの情報を遠ざけてしまいがちです。

また、転職をしようかどうか迷っている人は、(迷っている段階で半分以上心が転職に傾いているからか)転職先の会社のプラスの情報ばかりに目を向けてしまい、マイナスの情報には目を背けてしまう傾向があります。

すでに就職先が決まってしまったような場合は、すでに決まったことなのでプラスの情報ばかりを集めても構わないでしょう。

しかし、これから何か行う(転職とか起業とか)場合は、プラスの情報もマイナスの情報もきちんと集めてから決断を下す方が後々の後悔が少なくなります。

例えば、退職して起業するかどうかを悩んだ時、プラスの情報として、①自分で采配を振るえる。②自分のやりたいことに集中できる。③新しい分野で成長が見込める。などが挙げられます。

他方、マイナスの情報として、①安定した収入がなくなる。②会社の肩書を通用しなくなる。③資金繰りが必要になる。などが挙げられます。

自分の置かれた立場に応じて、それぞれのプラスマイナスはもっと詳細になるはずです。配偶者やその親族の反対とか…。

ネット社会の最大の欠点は、見たい情報だけを検索でき、見たくない情報をシャットアウトできるという点だと私は考えています。

紙の新聞や雑誌だと見たくない不快な情報が突然飛び込んでくることがよくありますが、ネットで不快な情報を目にするのはせいぜいニュースサイトくらいでしょう。

プラスの情報もマイナスの情報もできるだけ平等にピックアップして、比較対象できるようにすると間違いの少ない決断ができるでしょう。

あれこれと頭の中で考えていると堂々巡りをするばかりなので、紙に落とし込むなどしてそれぞれの項目を評価するのもいいと思います。

弁護士になりたてのころ、私は離婚の相談に来た妻の前にプラス情報とマイナス情報を提供したことがありましたが、その後すぐに止めることにしました。

妻が弁護士に離婚相談をするときは、すでに離婚を決意しており、覆らないことがわかったからです。(^^;)

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年2月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。