53歳の挑戦は何を…
2か月続いたスタートアップカフェ・コザのプログラミングスクールを卒業しました。1日12時間の勉強。ゲストハウス・キャサリンとスターアップカフェ・コザとスーパー・サンエーの三角移動。単純な日々の繰り返しを積み重ねる事によって、見えてくるものがあったのです。
プログラミングスクールに入学が認められて、実際に授業が始まるまでの期間が1か月ありました。スクールの出だしでつまづいたのは、この期間にprogateでの予習をしなかったからです。予習を始めたのが羽田空港から那覇空港に向かう飛行機の中、つまり授業が始まる1日前の1月14日だったのです。1月の第3週末までの予習目安を達成することが出来ましたが、あくまでノルマを達成したに過ぎません。
理解と能力を高めるためには、言われたことを言われたスケジュールに従って、こなしているだけではダメなのです。手前1か月を上手く活用した人が、progateレベルをLv.200以上に引き上げ、今回のスクールもリードしています。僕は卒業時点でもLv.158(43人中15位)に過ぎません。レベル200を超えると視界が広がるとスクールリーダー達が言っているので、3月中には最低200を超えたいと思っています。今後も基礎的トレーニングとしてprogateを活用していかないと学んだことを忘れてしまうはず。
セカンドスクールとして、53歳でコンピュータプログラムを始めて学びましたが、年齢的に早かったのか、遅かったのか…、結論としては40歳代で始める方が望ましいと思います。大学を卒業し、働きて始めて25年後、高校卒業して30年後。企業で役職定年を迎える7〜8年前から、人生のセカンドステージの準備に入る。そして、55歳の役職定年になる時には、お荷物として企業に残るのではなく、新たな能力を持参して貢献する。新たな企業に転職する。飛び出して起業する。つまり、社会に貢献する、人に役立つという実感を持って働けるように、時間をかけて準備することが大切です。
僕は起業することをお勧めしますが、向く人と向かない人がいるので、起業して不幸せになるなら、勤務を選ぶという選択もあります。セカンドステージの準備に入る40代後半の社員には、企業も副業を認め、単にセカンドスクールで学ぶだけでなく、実践を体験させることも必要です。起業も実走して上手くいきそうなら、会社を辞めて専念すれば良い。別の会社で「中年インターン」をしながら、自分の学びと能力を確認して、今後の選択の参考にする。「働き方改革」というのは、働き盛りの対応策だけでなく、人生100年計画の準備という側面を持たせることが大切なのです。僕ですら想定していなかった「人生100年」、急に言われても、心もお金も準備など出来るわけがない。役職定年間近の僕と同世代にとって「急に言われても…」ということだと思います。
人生100年計画の折り返し点である40歳代後半の過ごし方が極めて重要と、どれだけの人が、そして施策をつくる政府や政治家が意識しているのか、心もとないのが現実です。将来の安心とか、家族の幸せとか、全てを捨てて、ゼロから政治家を志していた僕ですら、昨年10月の落選後は心が揺れたのです。横浜市会議員に初挑戦した30歳、衆議院2期目を目指した44歳、2回の落選経験があり、落選とはどうなることなのかを知り尽くしているはずの僕がです。
つまり、落選したことで心が揺れたのではなく、人生100年と急に言われて、「これからどうなってしまうんだろう」という不安が過ったということなのです。多くの真っ当な人生をおくっている人にとって、人生100年に不安がないとは言えないはずです。自分の弱さを素直に認めて、「なら、どうする」と真剣に考え、行動に出なくてはけません。行動に出ようと思った時に、社会としての準備、受け皿を制度としてつくる必要があるのです。夢や希望を見失う人生など面白いはずもありません。
月~金の1日3時間、2か月間、40回コース。土日は、一般参加者もいる特別セミナー。正にブートキャンプ、記憶力が低下している53歳のプログラム初級者には短期間コースが適していると思います。月から金曜日13時~16時の3時間の授業を受けるために、7時~9時、12時~13時の3時間の予習。16時~18時、20時~22時の4時間の復習。22時から24時の2時間の予習という過ごし方が平日。土日は、1週間の復習。このペースで7週間を過ごすことによって基礎が何となく身に着きます。グループで卒業制作をつくる最終の10日間は、今まで学んだことを復習しながら、新しいことを調べながら、具体的なWEBサイトをつくるのです。インプットしながら、アウトプットしている感じです。一般的なプログラミングスクールにありがちな、半年かけて週1~2回の3時間授業では、全ての時間を使い集中して学ぶ事は出来ないので、効率性が下がるのではと思います。働きながら夜間で学ぶより、企業が社員研修として2か月間、フルで学ぶ機会を与えることが出来たら、人は変われると思います。
スターアップカフェ・コザは、ベンチャー企業等の起業支援拠点。運営会社のハナハナワークスもITによって、社会課題を解決することを得意とするベンチャー企業。この企業がプログラミングスクールを運営しているので、単にプログラミング言語を学び、卒業制作をつくらせているのではないのです。プログラムを学ぶことは単なる手法で、社会的課題を見出しビジネスを起こしていく事が目的となって、スクールが運営されているのです。ここが、数多くあるプログラミングスクールと大きく異なる点です。学ぶこと自体が目的となると、人生100年計画で使える能力にならないと思うのです。趣味で学ぶ人を対象としているのではなく、ビジネスを担うことが目的の人たちが切磋琢磨する環境です。僕が学んだ昼の部は、運営者の思いを共有化していたクラスでした。
スターアップカフェ・コザを横展開させて、沖縄市以外の地域でも拠点を整備すべきだと思います。スタートアップと称する企業支援拠点は、他にもあります。プログラム自体を学ぶ学校もあります。それが融合された拠点は、ここ以外に聞いたことがありません。だからこそ、僕もスタカフェで学んだのです。ポイントは拠点というハードを展開しても意味がないという事です。学ぶ仕組み、教える仕組みと人材。人とノウハウを育てた上での拠点化が大切なのです。だからこそ、先ずはハナハナワークスが運営する必要があるります。人を育て、企業を育て、仲間同士がリンクして、更に大きく育つ。正にエコシステムを確立することです。
もちろんハナワークスが全てを描けるわけではありません。卒業生の行動も大切になります。卒業生としての僕の役割もはたしていくつもりです。先ずはプログラミングスクール卒業生の同窓会を立ち上げたいと思っています。コザ以外にスクールが出来た時もこの同窓会の仲間になるのです。同じ思いで学んだ同窓ネットワークが、ビジネスの幅を広げていくことになるはずです。卒業生が社会課題解決の為に起業する、IT企業に就職する、自営で仕事を受ける。自分だけで解決出来ない仕事でも仲間とシェアすることによって対応出来る。同じ教えで学んだ仲間だから、何処に住んでいようが、何をしていようが、協力し合えるのです。このつながりを無駄にしたくありません。
実はコザのプログラミングスクールに行こう決めた時に、もう1つ学びたいことがあったのです。スクールの場所が沖縄ということもあり、プログラムと同時に英語も学ぶつもりでいたのです。スタカフェのナカムラマコト代表にも、2つを同時に学ぶカリキュラムを作って欲しいと伝えていました。返事としては「わかりました。それは大切なことです」と言ってくれたけれど、真剣に準備していたとは思えません。それは、今では納得できるのです。途中で「余裕が出来たら準備しますけど、英語どうしますか」と聞かれ、「とても無理」と答えたのです。プログラムを学び、覚えることも沢山あるのに、記憶力が低下している53歳が、英語まで手が回るはずはないのです。スクールを卒業した後にLivingvistでも地道にやろうと決めました。今は電車の中やちょっとした空き時間には、Livingvistしています。
いよいよ小学校で英語とプラグラミンングの授業が始まります。これからの社会ではこの2つが必要不可欠だから、小学校から学び始めるのです。過ごす時代は大人も子供も同じなのです。英語とプログラムをこなすことが出来る若者と理解出来ない高齢者、これでは人生100年計画が、バブル世代の落とし穴になりかねません。53歳の挑戦は、僕自身の挑戦であると同時に、53歳という世代の実証実験でもあったのです。プログラミングは学び方、学ぶ期間、教え方が良ければ、100年計画のスタートラインに並ぶことが出来ると実感しました。継続してコーディングをする事、ビジネスを担うこと、それにより新たな道を見つけることも出来るはずです。
一方でもともとプログラミングが出来る人は、単なるコード書きではなく、社会課題を見つけ出し、どの手法で解決していくのか、という社会科学的見地がないと、100年計画がつくれないはずです。プログラマーに対する社会課題解決を学ぶブートキャンプも必要と思います。
次の実証実験は英語力。とりあえずは、Livingvistで学びながら合宿、英語ブートキャンプを見つけてみたいと思っています。もちろんprogateもまずはLv.200までたどり着けるように学んでいます。
40回に及ぶ連載をお読みくださりありがとうございました。特に僕の同世代の人たちが、新たな学びに挑戦し、いつでも夢や希望を成し遂げることが出来るように、背中を押すことが出来たらと思ってブログを書いてきました。人生100年、長いですよ。覚悟して準備していきましょう。
編集部より:この記事は元内閣府副大臣、前衆議院議員、福田峰之氏のブログ 2018年3月17日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。