「閃き」を生む思考回路を鍛えよう!

「潜在意識の活用」というものがというもの、一時期爆発的に流行ったことがある。
潜在意識というのは、フロイトが唱えた「無意識」とおそらく同じ意味だろう。

フロイトは、「顕在意識」が氷山の一角に過ぎないのに対して「無意識」ははるかに巨大なものだと説いた。

「潜在意識」についての科学的な解明は耳にしたことはないが、私たちは日頃から「潜在意識」のお世話になっている。
いわゆる、「閃いた」という感覚だ。「閃く」前提として、私たちは「ああでもない、こうでもない」と考え悩んでいる。

ある朝目覚めて、突然「そうか!こういうことだったんだ!」と閃いたり、入浴している時に突然筋道がはっきり見えたりする。
大学受験の数学の勉強で難問を解いていてわからなくなると、「一晩寝かせる」を実践していた人が私の知人に結構いる(私もその一人だ)。

翌朝目覚めると、「解法」が頭の中で出来上がっていることがよくある。
「閃き」が来なかった時はもう一晩寝かせるか、あきらめて誰かに教えてもらう。

私自身の弁護士業務では、民事事件で相手方の準備書面が届くと、一通り目を通してしばらく考え、「寝かせる」ことが多かった。実際、事件ファイルには「〇月〇日 寝かせる」という付箋を付けていた。すぐに容易に反論を書くことができる場合も、しばらく寝かせると“より効果的な反論”を思いつくことが多かった。

ましてや、論理構成の組み立てに悩んだ時は、寝かせた方がはるかに効果的な反論を思いついた。
入浴時や目覚めの時に、「この手があった!」「どうしてこれに気づかなかったのだろう!」などと閃くことが頻繁にあった。

潜在意識を活用するためには、「ああでもない、こうでもない」と自分の頭で考え悩むことが大前提だ。
すぐに誰かに正解を教わったり検索して調べてしまうと、せっかくの「考え悩む機会」と「閃く機会」を失ってしまう。「閃き」に至る思考回路が錆びついてしまい、潜在意識が活用できなくなる恐れもある。

とはいえ、何でもかんでも悩んでいると、時代のスピードに付いていけなくなる。
試験勉強なら、8割か9割をスピーディに処理して1割か2割くらいを悩めばいい。

中学受験算数や数学の本試験では、大問題の全問につきそれぞれ3分か5分くらい悩み、解けそうな問題に取り組んでいると、その問題に取り組んでいる間に他の問題を潜在意識が考えてくれることもある。

ビジネスパーソンなら、テーマや分野を絞り込んで「考え悩む習慣」を身に着けよう。
仕事に直接関係ない分野だと、(その分野の悩みが仕事の悩みを押しのけてくれるので)気分転換になる。

「考え悩んで」→「閃く」という思考回路が出来上がればしめたものだ。
磨き込めば、ビジネスにもしっかり応用できるようになるはずだ。

荘司雅彦
講談社
2014-02-14

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年5月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。