北朝鮮情勢に関する見方。そして中国のアメリカでの「世論工作」

鈴木 馨祐

4月30日から同僚議員とともに日米韓の国会議員によるシンポジウムに出席するため、ワシントンに出張しています。議論の中心はちょうど南北の会談があった直後ということもあり、北朝鮮をめぐる問題が中心でした。

私からは、日本の懸念として(1)米朝首脳会談で金正恩の演技に騙され「悪い」合意をしてしまうこと、(2)北朝鮮は当面の危機であり東アジアにとっての真の脅威は中国であること、(3)アメリカがどのくらい真剣にアジアに関与し続けるかをアジア各国が注目しており、TPPからの離脱は明らかに誤ったメッセージを送っており、中国の圧力を考えれば、アメリカが東アジアにコミットすることをアジア各国に行動で明確に示さなければ中国に各国が寄らざるを得なくなってしまいかねないこと、を基本のラインとして主張し続けたところです。

実際様々な意見交換や会議での議論を通じて感じたことは、ワシントンにおいて、あるいは韓国の野党の発言によればソウルにおいても、日本ほど北朝鮮の核放棄に楽観的ではないことでした。その一方で北朝鮮が既に核を持ってしまっている以上、核放棄を交渉によってさせることは事実上困難であるとの認識をアメリカの当局関係者すら持っていることに正直衝撃を受けたところです。

金正恩が交渉のテーブルにつこうとしていることについては、アメリカの武力攻撃の可能性、経済制裁、核開発が完了したこと等がその背景にあるとの認識は共通したものでしたが、金正恩に核放棄をする合理性が無い状況の中で、武力攻撃なしに北朝鮮が核放棄を具体的にすることが現実問題可能なのか、正直まだその可能性を想像できないというのが正直な感覚です。

少なくとも、アメリカによる武力攻撃の可能性が無くなれば、北朝鮮が核放棄に動く可能性は皆無となります。武力行使の可能性も含めた圧力を北朝鮮が完全な核放棄をしたことを確認できるまでかけ続けることは当然不可欠ですし、北朝鮮に対して不可逆的な状況を確証する具体的な要求を期限を明示して明確な検証プロセスとともに受け入れさせることができるか、米朝首脳会談に向けたプロセスがまさにこれから正念場です。

引き続き状況を楽観を排し、しっかりと注視していきたいと思います。

ちなみにこちらは、滞在中のワシントンのホテルでのシーン。何とChina Daily、つまり中国共産党の機関紙である人民日報の英語版が、無料の新聞として、ワシントンポストと並んで積まれていました。現地の人によれば、週一回程度はワシントンポストに無料で挟まれて配達されているとも。中国のアメリカの世論工作の一端を垣間みた気がします。日本としてもしっかりとした対策が必要です。

 

 

 

 

 

 

 


編集部より:この記事は、自由民主党青年局長、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2018年5月2日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。