ガンダムは男の教科書である

常見 陽平

ふと気づいた。5月以降の記念日はすべて「平成最後」という冠がつくことを。平成最後のこどもの日だった。マルクスの誕生日でもあり。今年で生誕200周年だ。この日を娘とすごすのは初めてであり。ちょうど父や、hideやキヨシローさんの命日も近く、毎年、いつまで子供のような無邪気さを持ち続けられるか、考えたりもする。

5日は、早朝にTBSラジオ「蓮見孝之 まとめて!土曜日」に出演。国際政治、TOKIO、憲法問題、ジャパンビバレッジのスト、キリン午後の紅茶問題など、もろもろ語り倒した。

聴くことができるので、ぜひ。

収録が終わったあとは、千代田線で亀有へ。この日から『機動戦士ガンダムORIGIN Ⅵ 誕生赤い彗星』が公開。前夜祭には行けなかったのだが…。正式な上映の中で、一番早いスケジュールで見たいと思い。ちょうど赤坂から一本で行けたので。下町の商業施設の中にある映画館なのだが、早朝から並んでいる人がおり。ほぼ満員だった。同日に配信も開始だったので、自宅で見てもよかったのだが、やはり映画館は映像も音も迫力が違う。そういえば、たまたまかもしれないが、予告編のときに場内を暗くしなくなったのね。ギリギリに入場する人もいるし、これは嬉しいかも。例の映画泥棒撲滅CM、そろそろ新バージョンにならないかなと思うのだが、これを見ると映画館に来た気になるのもまた事実で。悩ましい。

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根強い人気の「機動戦士ガンダム」(写真AC:編集部)

そんなことを考えているうちに映画は始まり。あっという間に終わった。あまりネタバレするのもなんだが、うん、良いデキだったのではないだろうか。幼い頃から見ていた『機動戦士ガンダム』に現在の映像技術を惜しみなく注ぎ込み。『ORIGIN』シリーズは、本編の前の時代を描くというものなのだが、このシリーズの奥行きを感じさせるものになっていたと思う。

今回のパート6だけでなく、シリーズ全体で評価したいところなのだが、戦闘シーンも人間ドラマもいい感じで。特にシャアという人物がとことん冷静沈着であり大物感があること、ザビ家の人間模様(特にギレンとキシリアの冷酷さ)が描かれていてよかったような。さらに、地球連邦軍とジオン軍の思惑などが。戦争に巻き込まれているアムロを始めとするサイド7の子供たちの無邪気さと、可能性もよく描かれており。最後のエンドロールも、映像を見逃してはだめで。いちいちニヤリとする部分があり。そして、最後はあの台詞で終わるという…。

人生で大切なことは、皆、『機動戦士ガンダム』シリーズから学んだような。これは企業社会の縮図である。理不尽なことももちろん、善悪とは何かが明確ではないこと、さらには未完成の若者にかけるということと無限の可能性にも。一方、アムロやシャアを中心に注目が集まるのだけど、戦争はザクとジムで行われているということを。

さらには、『機動戦士ガンダム』シリーズを創り続けるサンライズや、BANDAI SPIRITSホビー事業部(旧:バンダイホビー事業部)の魂にも感じるものがあり。ガンダムは常に挑戦の連続である。ときに(?)と思うような作品や商品があったりもするが、それも含めて挑戦。その姿勢にいつも圧倒される。まあ、ビジネスではあるのだけど。

というわけで、50代になっても、60代になっても、私は『機動戦士ガンダム』シリーズを見るんだろうな。久々にガンプラでも組み立てようか。

常見 陽平
日本経済新聞出版社
2015-12-02


代表作をぜひ読んでね、これを機会に。


最新作も、ぜひ!


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年5月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。