5590万円で銀座の新築ワンルームを購入している人は誰なのか?

今朝の新聞広告(写真)を見て、その価格に驚きました。銀座アドレス(最寄り駅は築地市場徒歩4分)の新築ワンルームマンションが、何と5590万円で売り出され、即日完売しているというのです。

即日完売の真偽はわかりませんが、日本経済新聞電子版の記事(広告ではない)にも「約1700件の資料請求が殺到。既に約100戸が売れた」と紹介されていますから、売れ行き好調であるのは事実のようです。33平米からの、ワンルームとしてはやや広めの物件です。

この価格で買っているのは、果たしてどんな人たちなのでしょうか?東京の拠点として購入した海外あるいは地方の富裕層ではないかと推測しています。少なくとも、このブログを読んでいるような、都心・中古・ワンルームの価格を知っている「賢明な投資家」が手を出す物件ではないと思います。

築年数や立地は劣りますが、私が先月文京区に購入した築17年の物件の価格は、この銀座新築物件の半分以下の価格です。広さはより広く36平米。最寄駅から徒歩2分ですから、利便性も悪くありません。

こちらの中古物件の家賃は管理費込で12万8千円。単純に同じ利回りになるには、銀座の新築物件なら価格2倍としても、25万6千円の家賃が必要になります。銀座アドレスといっても、さすがにこの広さで、この家賃でのテナント付は難しいと思います。

このように、投資視点からは、新築の物件価格は、中古に比べ割高になりがちです。

それでも新築に自分で住みたいという人にお薦めしたいのは、利回りの高い中古を買って、新築を借りるという方法です。

上記の例ならば、半額以下で買える中古物件を2戸購入すれば、家賃は26万円。ここから、銀座の新築の家賃を払えば、お釣りがきます。

しかも、賃貸で新築に住めば、数年後にまた別の新築物件ができたら、そこに引っ越しすることも可能。数年おきに新築物件を渡り歩くこともできます。人に貸すにせよ、自分が住むにせよ、新築物件を購入するメリットはあまり無いのです。

ちなみに新築物件の売れ行きは、中古物件市場の先行指標になります。新築の人気が高いうちは、中古市場も堅調と言えます。今回の広告で見つけたような新築物件の価格上昇は、都心・中古・ワンルーム投資家にとって悪い話ではありません。

都心の不動産投資について情報を集めたい人は、6月に開催の第8回世界の資産運用フェアにご来場をお薦めします。ここには新築物件を販売する会社は出展していません。首都圏と地方主要都市(大阪、名古屋、京都、福岡、札幌)の中古物件を販売する会社の物件を比較して、ベストな投資物件を見つけることができます。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年5月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。