なんで、まだアクティブ運用で消耗してるの?

金融市場は効率性の高いマーケットです。「効率性が高い」というのは、情報が隅々まで行き渡り、自分だけが知っている情報を得ることが難しいという事を意味します。

しかも、もし株式市場で特別な非公開情報を手に入れて売買すると、インサイダー取引という犯罪になってしまいます。だから、金融商品はインデックス運用と呼ばれる市場平均に連動する投資方法が有利というのが私の意見です。

逆に言えば、自分で銘柄選択したり、プロに運用を任せるアクティブ運用で、平均を上回る成績を実現するのは簡単ではありません。絶対に無理とは言いませんが、その分析にかける時間があるなら、不動産のような効率性の低い市場でインナーサークルに入り、歪みからの超過収益を狙うべきと考えます。不動産のような実物資産のマーケットにはインサイダー取引という概念はありません。

本日の日本経済新聞の朝刊にESG投資に注目が集まっているという記事が掲載され、ここ数年の運用成績の良い投資信託がグラフ化されています(図表も同紙から)。

その中の一つが、日興エコファンドです。確かに2015年4月からの成績は、平均であるTOPIXを上回る好成績です。

しかし、運用している日興アセットマネジメントのホームページで運用レポートを調べてみると、設定来のリターンは17.06%で、TOPIXの20.46%を下回っている事がわかります。

しかも、このファンドの信託報酬は年率1.62%(税込)となっています。TOPIXに連動する例えばこのインデックスファンドなら、信託報酬は年率0.17172%と10分の1近い低コストです。

手数料が割高で、運用成績も実はパッとしない。そんなアクティブファンドの選択に時間をかけて、運用成果が上がらないことに消耗する必要はありません。インデックスファンドでコストを下げて、マーケットに資金を委ねて、経済成長からの恩恵を長期で受け取っていく方が、手間もコストもかからず長続きできるのです。

この記事は署名入りで、書いているのは太田明広さんという日本経済新聞の記者の方。経済の「専門家」として、この記事から何が言ったかったのか、機会があれば聞いてみたいと思っています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年5月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。