「美しい国、日本」という第一次安倍内閣のスローガンがどこかに飛んで行ってしまったようだ
安倍総理が「美しい国、日本」と言い出した当時、私は清和政策研究会に所属しており、一般の自民党の国会議員より近い場所で安倍総理の一挙手一投足を見ていたように思う。
私自身はクローニンの会の事務局長ないしその補佐的な立場にいたので、どちらかと言えば福田さんを担ぎ出す役回りで、安倍さんの懐に飛び込んで行った方々とは一線を画していたとは思うが、総裁選の直前になって福田さんが総裁選挙への出馬断念の意思表示をされてからは、結果的に安倍さんの陣営に属していると見られていただろうと思う。
当時の安倍さんのイメージは、結構よかった。
「美しい国、日本を創る」というスローガンはちょっと抽象的過ぎるなと思ったが、「美しい」という言葉はそれなりにアピールしたと思う。
「美しい国」を創るために安倍総理が果敢に挑戦していたことは、今でも評価している。
小泉内閣では積み残しになっていた防衛庁を防衛省に昇格させるための法改正や教育三法の改正などの大事業に果敢に挑戦し、それなりに結果を出していた。
それが本当に「美しい国、日本」を創り出すことに直結するのかどうか分からないところがあったが、とにかく安倍さんは「美しい国」を創り出すために邁進しているのだと思わせるところがあった。
しかし、民主党政権が瓦解して後、自民党が政権に復帰し第二次安倍内閣が発足してから今日に至るまでの間においてわが国が本当に美しい国になったかどうか、と問われると、率直に言って今の日本は決して美しくない。
今の安倍総理も、麻生財務大臣も然り。
醜いとまでは言わないが、美しくない。
ご本人たちには些かもそういう自覚はないだろうが、国民の間に段々、もう、嫌だなあ、という一種の嫌悪感が拡がりつつあることを軽視されない方がいい。
安倍総理が足を踏み入れるのは、底なし沼?蟻地獄?
岸田さんも石破さんも野田さんも、ちょっと身を引かれておかれた方がよさそうである。
安倍総理の前に控えているのは、どう見ても泥沼である。
底なし沼ではないと思うが、ドロドロにはなりそうだ。
安倍総理と一緒に泥沼に足を踏み入れるのは、菅さんくらいで止めておいた方がいい。
菅さんはいくら泥をかぶっても立派に立ち直るだろうが、安倍総理の後の総裁候補と目される方々は、なるべく泥をかぶらないで済むところで静観されておかれた方がいい。
自衛隊を明記する憲法改正案の発議は、どうやら不可能になりつつある。
公明党筋から消極論が噴出し始めているようだから、衆参両院で3分の2以上の議席を与党が占めていても、公明党が賛成しない憲法改正案の発議が出来るとは思わない。
そろそろ実現不能な憲法改正案の発議は諦めて、野党の半分以上が賛成出来るような憲法改正案の発議を目指すことに舵を切られた方がいいと思うが、安倍総理の下ではその話し合いも出来そうにない。
安倍総理が憲法改正の実現を言えば言うほど、憲法改正への道が遠くなる、というのが現在の政治状況ではないだろうか。
岸田さんも石破さんも野田さんも、とにかく身綺麗にしておかれることである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年5月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。