従来、LINE@は、店舗や施設向けのサービスだったが、審査が不要な一般アカウントが登場したことで、誰でも利用できるようになった。以前は利用ができなかったECサイトはもちろん、個人のブロガー、アーティスト、デザイナーなど、誰でもアカウントを開設できる。しかし、集客や販促の秘訣を知らない人は多い。
今回は、『コストゼロでも効果が出る! LINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)を紹介したい。著者は、松浦法子さん(著, 監修)、深谷歩(著)さん。松浦さんは、LINE評論家としてメディア出演が多く、講演活動等も行っている。
スマホの出現はネットサービスを変えた
オンラインとオフラインを結び付け、消費者の「来店促進」と「購買の拡大」など、商品やサービスの利用を促すO2O(Online to Offline)に注目が集まっている。
「オンラインの会員やインターネット閲覧者を来店や購買に誘導しようという施策は、2000年ごろから存在しました。当時は、オンラインにアクセスできる場所はパソコンにほぼ限定されていたため、『インターネットでのショッピング』『実店舗でのショッピング』は、消費者の目的や利便性に合わせて別々に行われていました。」(松浦さん)
「現在は、インターネットで事前にお店の情報を調べて来店することが主流になっています。スマートフォンのGPS機能を利用し、今いる場所の近くにある店舗の中からクチコミやクーポンなどをネットで調べることもできます。」(同)
ポイントをネット上に貯めておくことや、ポイントを発行店だけでなく、多くの提携先で利用できるような機能はここ数年で大幅に普及してきた。
「利用者は、金銭的な特典をどれだけ受けられるかで店舗を選ぶ傾向が強くなっています。O2Oの普及によって、店舗側は少ない経費で専用ツールを使えるようにもなりました。ただし、クーポンや特典などの割引は粗利の減少に直結するため、マネタイズ効果をいかに上げるかが成功の秘訣となっています。」(松浦さん)
企業のスマホ向け施策は急務
スマートフォンの契約数は2015年に携帯電話端末全体の過半数を占め、2017年には8.600万台(スマートフォン契約比率63.0%)になった。この数は、2019年には1億300万台(同70.9%)になると見込まれている。
「SIMや低価格帯端末の普及、ならびにスマートフォンによるエンターテイメント性の拡充も見込まれ、携帯電話のスマートフォン化への勢いは止まりそうもありません。携帯電話のスマートフォン化により、単に電話機としてではなく、時間と場所を選ばずインターネットに接続できる小さなPCとして利用されています。」(松浦さん)
「情報を受信するだけでなく、店舗や商品などのクチコミを自分自身で発信もします。企業からの一方的な情報よりも、ユーザーが発信した情報は伝播・拡散されやすく、来店や購買の行動につながりやすいです。O2Oが消費改革を起こしているのです。スマートフォン向けの施策なしでは、企業側は機会損失を招きかねない状況です。」(同)
メルマガの5倍以上の開封率
スマートフォンが主流になる前まで、顧客とのコミュニケーション手段の中心はメルマガだった。しかし、メルマガは携帯電話会社が用意しているフィルターがかかるようになり、相手に届かなくなった。さらに、LINEの登場により、メールを使用しなくなり、メルマガ自体が読まれなくなっていった。
「驚くべきことは、LINEの開封率がメルマガ全盛期のメルマガ開封率の5倍という点です。さらに、メッセージからのクリック率はメルマガの20倍以上です。スマホに特化したLINEの機能により、タップすれば電話が掛けられたり、メールを送れたり、Webに誘導することが簡単にできるようになりました。」(松浦さん)
LINEは無料でスタートしてビジネスで課金をするビジネスモデルである。本書では、LINEを利用してビジネスを行なう際の秘訣が紹介されている。リアルタイムに反応があり、クリック率が高く、開封率まで高いのなら、利用しない手はないだろう。
尾藤克之
コラムニスト