6月1日に発表された5月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前日比22.3万人増となり、市場予想の19万人増を上回った。失業率は3.8%とこちらも予想に反して2か月連続で低下し、2000年4月以来、18年ぶりの低水準となった。時間当たり賃金(全雇用者ベース)は前月比がプラス0.3%、前年同月比でもプラス2.7%とこちらも市場予想を上回った。
米国と中国やEUなどとの貿易摩擦問題、米国側からの米朝首脳会談の中止のアナウンス、さらにはイタリアやスペインの政治リスクの強まりなどによって、日欧米の金融市場はリスク回避の動きを強めた。
しかし、6月12日の米朝首脳会談は開催されることになり、イタリアとスペインは新政権が発足し政治の混乱はひとまず回避された。米国発の貿易摩擦問題については、8日から9日にかけてカナダで開催される主要7か国首脳会議(G7サミット)でも、主要議題となりそうだが、一時期ほどリスク要因として認識されなくなってきた。雇用統計などからも米国経済がしっかりしており、悲観的な見方が再び後退しつつあるようにもみえる。
いずれにしても6月12~13日に開催されるFOMCでは、余程の事態が発生しない限りは、3月に続いて今年2回目の利上げが決定される可能性が高い。
それでは今年はあと何回の利上げが予想されるのか。これまでのFOMCでの政策変更のパターンからは、議長会見が予定されているFOMCでの政策変更がほとんどであった。そうなれば、6月以降は7月、9月、11月、12月のFOMCのうちの、会見が予定されている9月と12月での利上げの可能性がある。問題は9月と12月のどちらかなのか、それとも両方で利上げが実施されるのか。
今年は11月6日に米国の中間選挙が実施される。選挙と利上げを結びつけるのもどうかと思うものの、年3回となれば中間選挙前の9月よりも12月の可能性が高いか。ちなみに2017年は3月、6月と12月に利上げを行っており、会見のあるFOMCとしては9月がスキップされていた。
年4回の利上げの可能性もないわけではないものの、物価が落ち着いていることもあり、利上げペースを速める必要性もそれほどないのではなかろうか。原油価格の動向も注目されるが、こちらもここにきて上昇トレンドが崩れつつあり、WTIが一気に100ドルをつけるような勢いとはなっていない。
いまのところFRBの今年の利上げ予想としては、6月に続いて12月に実施されて年3回とみている。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年6月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。