「あいさつできる」「約束を守れる」「相手のことを思いやれる」。誰もが会うと気持ちよく感じる子はどんな子?どんな場面でも、わが子が素敵に振る舞えるコツとはなにか。親子で知りたい、ちょっとした作法があるので覚えておきたい。
今回は、『10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー』(青春出版社)を紹介したい。マナー講師の西出ひろ子さん、川道映里さんの共著になる。西出さんの主な実績としては、28万部のベストセラーを記録した『お仕事のマナーとコツ』(学研)があり、「NHK大河ドラマ・龍馬伝」のマナー指導など幅広い。
茶碗や汁ものの置き場所は?
本書は、親が子どもに言い聞かせることを想定したつくりになっている。いまから、ご飯茶碗、汁椀、箸を置く際のパートを紹介したい。
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ご飯とお味噌汁とお箸に、それぞれのお部屋があること、知っていますか?ご飯のお部屋屋は、みんなから見て左側。お味噌汁のお部屋は、右側。ご飯お味噌汁は、おとなり同士なんですね。おとなりだけど、右と左を間違えないでね。
そして、お箸は、ご飯とお味噌汁のお部屋の手前にあるんだよ。お箸のお部屋は、横に長細い形をしているから、食べるときにつかう細いほうを、右利きの人は左に向けて(左利きの人は右に向けて、横長のお部屋に置いてあげましょうね。ご飯とお味噌汁、お箸が迷子にならないように、それぞれのお部屋にきちんと置いてあげてね。
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お箸をつかわない時は「横向きに置く」こと。お箸を置くときには「箸置きをつかう」と便利なこと。ご飯茶碗と汁茶碗は必ず「となり通しで置く」ことの3つがポイントになる。
「和食は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。和食は、お箸で食べますが右利きと左利きの人とでは、その扱い方が逆になります。洋食は、ナイフとフォークをつかって食べますが、ナイフは右、フォークは左に置くことが決まっています。海外では、左ききの子どもでも、食事のときはそれに則って食べられるように、食事で使用するカトラリーの持ち方だけは、矯正する人が多くいらっしゃいます。」(西出さん)
「お箸も同様に、もし可能であれば、左ききであっても、お箸は右にもって食べることができるように、小さいときに慣れさせてあげるのも、よろしいかもしれません。とはいえ、諸事情あると思いますので、もちろん、無理におこなうことはありません。」(同)
最近は、ファストフードの普及により、お箸が上手に使えない子どもが増えたように感じている。お茶碗やお椀の持ち方はどのように教えるのがよいだろうか。
「最近、お茶碗を握るように持ったり、人差し指をお茶碗のふちにかけている子どもを見かけよす。正しい持ち方を教えることは、お茶碗を落とすなどの危険防止にもつながります。 大きく重たいと子どもは持ちにくく危険ですので、手の大きさに合ったお茶碗とお椀を選んであげてください。落としたときに割れない材質のものにしたり、汁はこぼさないように少量にして、おかわりで量は調整してあげると良いでしょう。」(西出さん)
子どものマナーは育ちが出てしまうので注意
食事のマナーは「育ち」が出やすい。食べることは、食を満たすだけではなく、他人とのコミュニケーションの場であることを理解させなければいけない。口のなかに食べ物をいいれたまま食べたり、音を立てて食べるのは最低のマナー。「口に食べ物が入っている時にはしゃべらない」など、基本的なマナーは最初に理解させたいものである。
また、食事のマナーができないと相手を不快にさせてしまうことがある。「立て膝をついて食べる」「テーブルにひじをついて食べる」「茶碗を置いたまま食べる」「ご飯をかき込む犬食い」など。本人に悪気はなくても、その場の雰囲気が悪化する。小さいうちから、正しい習慣が身につくように教えてあげることが大切ではないかと思う。
尾藤克之
コラムニスト