先程、東京都議会第2回定例会が終了しました。注目の小池知事所信表明は、やはり「警視庁との情報共有範囲の拡大、全庁一丸、スピード感、児童相談体制の強化」に終始するに留まりました。
時同じくして、上田清司埼玉県知事は昨日記者会見にて全件共有を表明しました。
埼玉県知事でありながら、目黒区船戸結愛ちゃん虐待死事件を受けて、児童相談所と警察の連携強化の重要性が指摘される中、昨日の定例会見で、児相が把握した虐待が疑われる全ての事案で県警と情報共有する方針を示されたとのことです。
かがやけTokyoで全件共有意見書を提案へ
大阪府知事も全件共有に向けて動き始めていると報道されております。知事の意志と覚悟の差が、子どもの命が救えるかどうかの差に結びついて行くものです。残念としか言いようがございません。
小池知事は「明日にでも児童相談所を見に行きたい」とおっしゃっておりましたが、ぜひ品川児童相談所を赴き、香川県児童相談所とのケース移管の資料を具体的に目を通され、なぜ結愛ちゃんの現認を怠ったか原因究明を自らして頂き厳しく現場を「現認」して、虐待事案はやはり警察と全件共有しないと再発防止することができないと、高知、茨城、愛知、埼玉県知事同様気づいて頂きたいものです。
小池知事の定例記者会見を受けて全件共有に及び腰であることに危機感を持ち、我々、かがやけTokyo会派に置きましては以下意見書を政府と国会へ提出すべく準備をしておりました。あいにく、我が会派には厚生委員が割り当てられておりませんので、厚生委員のいる各会派へ下記意見書提出のご協力を本会議直前にお願いして回りました。
ご一読いただければ都民の皆様はもとより、全国民の皆様もご納得いただける、あるいはまだやっていなかったのか?!という内容となっております。知事がやらぬのなら、都議会が「一丸となって」意見書を提出しアクションを起こし、結愛ちゃんのように残虐になぶり殺される子どもを決して出さぬ強い意志と覚悟を示したいものです。
児童虐待防止対策の抜本強化・拡充を求める意見書(案)
児童虐待事案の深刻化と相談件数の急激な増加等を背景に、平成12年11月、児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)が施行され、平成16年4月を皮切りに数次の改正がされてきた。
しかしながら、家庭や地域における養育力の低下、核家族化等による子育ての孤立化や不安・負担感の増大等により、児童虐待の相談対応件数は増加の一途を辿り、複雑・困難なケースも増加している。
本年3月、東京都目黒区で両親が女児を虐待死させたとして逮捕される事案が発生した。本件では、児童相談所と警察による情報共有や、速やかな親権停止措置によって、その生命を救うことができた可能性がある。
近年、東京都内においては、江戸川区、葛飾区、足立区、西東京市、そして目黒区と次々に虐待死事案が明らかになった。この10年間で、都・区市町村が関与しながら虐待死させられた子どもは、明らかになっているだけでも26人にも上り、我が国全体では約150人もの幼い命が失われている。
これらの事案の多くも、警察との情報共有や親権停止措置など、児童相談所の適切な対応によって防ぐことができたものである。児童虐待は一つの機関だけで対応できる問題ではなく、諸外国と同様、関係機関の密接な連携・協力が欠かせない。
平成28年4月1日付厚労省通達「児童虐待への対応における警察との情報共有等の徹底について」を受け、都道府県、区市町村は警察との協定を締結しているが、その情報提供は児童相談所が重大と判断した案件のみに留まる運用となっている。
その共有範囲を一部に限定した不十分な厚労省通達であったことに加え、東京都を始めとする自治体はさらに狭い範囲に運用を限定しており、いつどこで「事案の抱え込み」による類似の悲劇が発生してもおかしくない。
また、児童相談所の職員体制が十分ではなく、関係機関との情報共有をする余裕がないこと、親権に配慮するあまり子どもの命が危機に晒される現状についても、合わせて早急に改善していく必要がある。
国会及び政府においては、児童福祉法の理念にのっとり、児童虐待への的確な対応から自立支援に至るまでの一連の対策を強化し、子どもたちの健全な成長・発達を保障するため、次の事項について速やかに実施するよう強く要請する。
1 児童相談所と警察、区市町村および関係機関が全ての虐待案件につき情報共有し、連携して対応するよう義務付け、必要に応じて法改正や通達を行うこと。
2 児童相談所の体制や専門性を抜本的に強化するため、自治体に十分な支援を行うこと。特に児童福祉司、児童心理司、保健師等はじめ職員配置の充実、子どもの権利を擁護する観点等から常勤弁護士の活用等を促す措置を取ること。
3 被虐待児保護に必要不可欠な里親委託・特別養子縁組の取り組みを強く推進し、「新たな社会的養育ビジョン」に掲げられた里親委託率の目標を維持すること。
4 親権停止は、要保護児童の保護を第一に、迅速かつ柔軟に運用されることを目指し、必要に応じて法改正や通達を行うこと
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年6月27日
東京都議会議長 尾崎大介
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣
厚生労働大臣
文部科学大臣
内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)
あて提出
お姐総括!
5月30日に「女性都道府県議会議員の会」にて、上田が担当幹事として東東京都子ども家庭総合センターを視察しておりました。同センターは、「東京都児童相談センター」、「東京都教育相談センター」及び「警視庁新宿少年センター」という3つの相談機関が連携し、それぞれの専門性を活かしながら、児童虐待、不登校、非行など、様々な問題を抱える子供と家庭を支援しています。
すでにこうした連携・協力体制の基本的な仕組み・インフラがあるのですから、後はリソースを共有、連携すればいいだけなのに何故、ここまで知事・都庁官僚は抵抗をするのかサッパリ理解できません。児童相談所の職員を拡充すると高らかに小池知人記者会見では語られてましたが同センター、専門職らの部屋は机がぎゅぎゅう詰めで、労働環境が心配になるほどでした。窮屈そうに働く児相職員の皆さまを見ていて、都議会議事堂の広すぎる大会派役員室を活用させてあげたい思いでいっぱいになりました。
あ!!都庁本庁舎で1990年竣工以来総面積1,817.46㎡!タダ貸しし続けている職員組合事務所に出ていってもらい、児童相談所へスペースを提供してはどうでしょうか??
編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。