「約束を守る」は最低限のルール

中学入試で重視される学力以外の子供の資質の第一は、「約束を守ること」だそうだ。

私自身、娘が幼い頃から「約束は守ること。どうしても守れなかった時は、弁解せずに謝ること」と教えてきたので、それを知ったときは深く頷いてしまった。残念ながら、面接等で「教え」が効果を発揮する機会はなかったが…。

「約束を守る」というのは、子供以上に社会人としての最低限かつ最大のルールだ。
日本のメーカーが世界的に高い評価を受けている理由の一つが「納期を守る」、つまり約束を守るからだと聞いたことがある。日本人にとっては当たり前のことだが、納期を守らない他国のメーカーがたくさんあるらしい。

日常生活でも、「待ち合わせ時間を守る人」と「守らない人」がいる。
「守らない人」は常に遅れてくるので、たまに時間きっちりにやってくるとかえって驚くこともある(笑)
「守る人」は(私の過去の経験では)少数派なので、時間通りや時間前にやってくる人に対しては、それだけで信頼感を抱いてしまう。

概ね、約束時間を守る人は、早めに現地に到着しているものだ。
時間に遅れる人が「5分しか遅れていない」と思っても、相手が10分前に着いていれば相手にとっては15分のロスタイムとなる(もちろん、10分についての責任はないが)。

待ち合わせ時間直前になって「5分ほど遅れます」という連絡をしても、決して免責はされない。

相手は既に到着しているからだ。
待ち合わせ場所が屋外のようなケースだと、相手は「プラス5分」を暑さ寒さを耐え忍ばなければならないこともある。

モノを借りたまま返さない人もいる。
とりわけ、書籍は一度貸してしまうと、返ってくる方が珍しいというのが私の経験だ。
貸し出された大学図書館の蔵書が返却されないと報じられたところを見ると、書籍は一度手元に置いてしまうと自分のものになったと錯覚する人が多いのかもしれない。

「借りた方は忘れていても、貸した方は決して忘れない」ということを、心に刻んでおこう。

「空手形常習犯」というのもいる。
「○○を送りします」と言っておきながら、いつまで経っても送ってこないのが典型例だ。

私自身、事情があって2ヶ月くらい前の未決済手形がある(汗)
これは、借りたモノを返さない人よりは善良だが、期待している相手に迷惑をかけることは間違いない。
「○○を送りますと言われたけど送ってこない、いっそ買ってしまおうか…」などと心を悩ませてしまうからだ。

過去の経験上、「約束を守らない人」は、時間にルーズで、借りた本も返さず、空手形を降り出すというように、三拍子揃ってしまう場合がほとんどだ。

そういう人たちとは意図せず自然に交流が疎遠になっている。
自己防衛本能がそうさせるのかもしれない。

「約束を守らない人」と我慢して付き合う必要は全くない。
人生は短い。
ルーズな相手に無償提供する余分な時間などないのだから…。

荘司 雅彦
講談社
2006-08-08

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。