不動産投資で大切な「脱・横並び」というスタンス

不動産投資の中でも難易度が一段高いのが海外不動産投資です。私は現在、個人所有と法人所有を合わせて世界9か国の不動産に投資していますが、全てが成功している訳ではありません。大成功したものもあれば、思うようにいかない案件もあります。

成功と失敗の2つを分ける要因は何かと考えてみて、気が付いたのは投資のタイミングでした。一言で言えば「脱・横並び」という投資スタンスが良い結果をもたらすのです。

例えば、アメリカのフロリダに投資したのは2011年でした。当時はリーマンショックの余韻が色濃く残っている投資環境で、1ドル=80円台でさらに円高になると多くの人が考えていました。

そんなタイミングでアメリカの不動産を購入すると話すと、ほとんどの人から「頭おかしい」「ナゼこんな危ない時に」「アメリカはこれから崩壊する」とネガティブなコメントが返ってきました。

しかし、後から振り返れば、まさにこの時がアメリカ不動産の底値でした。為替も1ドル=70円台まで円高になったもののその後は円安に反転。アベノミクス効果もあって為替益だけで30%近いリターンになりました。また、その後のアメリカ経済の回復と不動産ブームで現地の物件価格も2倍近くまで上昇して、「掛け算」で大きなリターンをもたらしています。しかも、その間一度も空室になることなく家賃も得ることができました。

カンボジアのプノンペンの物件も、購入時はまだプノンペンの不動産に海外投資家の目が向いていない時期だったので、先行者メリットを取ることができました。「地雷」「ポルポト」「貧しい」といったイメージで誰も行きたがらなかったタイミングで、周囲の意見を聞かないで思い切って行動したから、3割以上安い価格で買うことができたのです。

最悪と多くの人に言われた投資は、実は最高の投資になったのです。

逆のパターンもあります。敢えて国名は書きませんが、とある新興国不動産投資では、ブームの中、魅力的な物件を見つけ購入したものの、思ったように価格は上昇せず、賃貸需要が強くないために賃貸を諦めて完成後そのまま保有しているケースもあります。良い立地で既に完成しているので、転売も可能ですが、長期保有で価格が反転するのを待っています。しかし、購入時の周囲の評価は「素晴らしい物件」「良く買えましたね」といった具合で賞賛の嵐でした。

投資は100%成功することはありません。できるだけ失敗の確率を下げるには、情報はできるだけ正確に収集し、判断は周囲の情報に惑わされることなく自分自身で行う必要があります。人の後をついて、人と同じことを遅れたタイミングでやっても良い結果にはならないのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年7月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。