入れ墨のないC・ロナルドの「話」

クリスティアーノ・ロナルド(33)は次季からスペインのレアル・マドリードからイタリアのセリエAの王者ユベントスに移籍する(4年契約、推定移籍金1億ユーロ)。ロナルドは既にトリノ入りし、ファンにお披露目の記者会見をしたばかりだ。

▲ユベントスのユニフォームを見せるロナルド(ユベントスの公式サイトから)

そのロナルドはシーズン明け前、家族と一緒にギリシャのコスタナヴァリノのリゾートホテルで夏季休暇を楽しんだ。レアル最後のシーズンではチャンピオンズリーグ(CL)で3年連続優勝に貢献する一方、ワールドカップ(W杯)ロシア大会では主将としてポルトガル代表を率いた。強靭な体力を誇るロナルドだが、その体には疲れが溜まっている。家族との休暇で疲れを落とし、ユベントスのロナルドとして心身を整えるのが休暇の狙いだったのだろう。

スペイン日刊紙が報じたところによると、休暇を終え、ホテルを後にする時、2万ユーロ(約260万円)をチップに置いていった。そしてホテルのマネージャーに「皆に等しく分けてほしい」との言付も忘れなかったという。ロナルドのチップは桁が違う。ちなみに、ロナルドの年俸は推定約3000万ユーロだ。

蛇足だが、チップ文化のない日本人はチップでは最もケチだといわれている。ウィーン観光地でウェイターに喜ばれる観光客は米国人だ。米国人は通常、10%前後のチップを置いていく。予想外に受けのいい客はロシア人だ。もちろん、海外旅行を楽しむロシア人だから平均的ロシア人ではない。オリガルヒたちだ。彼らの食べ方は少々品性がないが、気分の良い日は桁違いのチップを置いていくことでウィーンのレストラン界では有名だ。
当方が直に聞いたチップの話としては、ウィーンの日本レストランで家族と共に食事したオーストリアのクルト・ワルトハイム大統領(当時)が食事後、ウェイトレス・ウェイター1人ひとりに50シリングを自分から渡したという話だ。

チップの話ではないが、最近、俳優界で最も稼ぐといわれるジョージ・クルーニーさん(奥さんは著名な人権弁護士アマルさん)は自分がまだ下積み時代、自分を支えてくれた関係者、友人を食事に招き、関係者にプレゼントをしたという話が流れてきた。ゲストの椅子の下にカバンがあった。その中にはなんと100万ドルが入っていたというのだ。繰り返すが、全てのゲストに100万ドル入りのカバンがあったのだ。クルーニーさんは下積み時代を支えてくれた関係者に感謝を表したかったのだろう。それにしても、100万ドルとは。招かれた関係者の数は何人だったかは知らない。

話をロナルドに戻す。彼はサッカー界で入れ墨をしていない数少ないスター選手だ。その理由を問われたロナルドは、「入れ墨をすると献血が出来なくなるからね」と説明した。ロナルドは定期的に献血をしていることはよく知られている。神から与えられた体を大切にするという。自宅では野菜を栽培している。彼ほどファンを大切にする選手は今のサッカー界にはいない(ロナルドには脱税問題があったが、スペイン税務当局と罰金刑を払うことで合意している)。

最後に、ロナルドがユベントスでの記者会見で述べた言葉を紹介する。
「私は野心的な選手です。居心地のいい場所にとどまって、過去の成功を振り返るつもりはありません。常に集中して前を向き、トレーニングで努力を続けて再びトッププレーヤーであることを証明します」(ユベントスの公式サイトから)。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年7月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。