「政策至上」など:「安倍対石破」的な総裁選報道に辟易

石破 茂

石破 茂です。

先般、新潮新書から上梓した拙著の「政策至上主義」というタイトルには、「政局至上主義」であってはならない、という思いも込めました。総裁選を巡っても、「誰と誰が会った」的な動向記事が報道のほとんどを占め、政策や自民党の在り方について、現時点で候補に名の挙がっている誰が、どのように考えているのかについての報道はほとんど見受けられません。

総裁選挙についてはまだ始まってもいませんし、私も含めて正式に立候補表明をした者がいないのでやむを得ない面もありますが、この春の憲法改正についての報道も「安倍対石破」的なものばかりでいささか辟易させられたものでした。このような報道では、国民の理解も深まるはずはありません。

政治は結果がすべて、と唱える向きもありますが、これは民主的手続きを全く無視した暴論です。民主主義は参加するできるだけ多くの人々に、正しい知識と情報を共有していただかなくてはその機能を果たせず、暴走する結果にもなりかねないことは歴史が証明する通りです。

政治の使命として、主権者に正しい知識を持って頂く誠実な努力をせず、「どうせわからないから」とばかりに「結果がすべて」とするような立場には私は全く与しません。

今回の自民党総裁選挙は事実上、日本国内閣総理大臣を選ぶものとなるのであり、どのような政策が実行され、政権与党たる自民党がどのように運営されるのか、というのは決定的に重要な情報となるでしょう。そうであればこそ、自民党員のみならず、広く国民の前に開かれた、内容のある討論が行われる総裁選となることを切に望みます。今週、自民党支持者以外の方々の集会でいくつか講演する機会を得て、痛切にそう思いました。

2日木曜日に「昭和偉人伝」(BS朝日・8月15日午後9時放送分)の収録を行いました。東海道新幹線の生みの親でありながら開通の式典に呼ばれなかった十河信二前国鉄総裁と島秀雄技師長が主人公の企画でしたが、先人の偉大さや先見性、交通体系の在り方などについて、多くを考えさせられたことでした。

週末は、茨城県、大阪府、地元鳥取県での講演や集会、テレビ出演などの予定が入っております。

猛暑の日々が続いております。昭和30年代から40年代にかけて、私たちが小中学生だった頃は「夏休みは涼しい午前中に勉強しましょう」と教えられたものですが、もうそんなことは通用しなくなってしまいました。

皆様どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2018年8月3日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた石破氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。

石破 茂
新潮社
2018-07-13