それでもREITを買わない「3つの理由」

内藤 忍

日本経済新聞の記事(図表も同紙から)に、REITの運用成績がまとめられています。

最近のREITの運用成績は全般に好調です。分配金利回りも3%以上のものが多く、株式より高くなっています。東京証券取引所に上場しているREITは60銘柄あり、1万5000円から70万円程度で売買できます。

しかし、私は3つの理由からREITを保有しようとは思いません。

<理由1> いつも買わなければならない
REITは入ってきた資金は現金として待機させることなく、その時点でベターな物件に投資していきます。割高だから、しばらく待つということができません。

個人投資家は上がると買いが増える傾向がありますから、高値で資金が流入し、物件を組み入れることになりかねないのです。相場が過熱すると、更に買っていくという仕組みは好ましくありません。

<理由2> 実はそれほど高利回りではない
REITは投資家の資金だけで不動産投資しているのではなく、REIT自体が金融機関から借入しています。2倍程度のレバレッジがかかっており、1000万円購入すると、ほぼ同額借入して、2000万円の投資をするようなイメージです。それにしては3%台のリターンは、現物不動産と比較して決して高いとはいえません。

<理由3> 税メリットが小さい
確かに、REITには、NISAやイデコの活用による税制優遇があります。しかし、相続税に関しては、REITは時価の100%が課税対象ですか、実物不動産なら、課税対象額を圧縮できます。都心の不動産であれば、3分の1、場合によっては5分の1になります。これはシニアにとっては大きなメリットです。

資金力や借入できる信用がない方は、残念ながら現物不動産には投資できません。しかし、お金を借りる力のある人、あるいはシニアでまとまった現金・預金を持っている人には、REITよりも都心中古ワンルームへの投資が断然優れています。お金を借りれれば、頭金10万円で投資できますし、キャッシュのある人は現金購入すれば良いのです。

私自身、現物不動産投資を始めてから、REITは全て売却してしまいました。家族や大切な友人にも、都心中古ワンルームへの投資を説いています。

中古ワンルームをREITと比較した時のデメリットは、流動性に劣ることです。しかし、中古ワンルームも、都心の物件なら一週間程度で決済出来ることもあります。REITのような金融商品ほどではありませんが、流動性としては問題ないレベルです。

ただし、都心中古ワンルームマンションの場合、誰から買うかが問題になります。

それに関しては、私が書いたこちらの書籍を是非読んでみてください。2000万円の投資を真剣に検討するのですから、1500円くらいの本をケチってはいけません(笑)。正しい知識を持って投資した方が、結局はおトクです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年8月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。