1位は川崎市、ふるさと納税「実質流出」の実態 年間40億円超、学校の建て替え費用に匹敵(東洋経済オンライン)
受け入れ総額は前年度比28%増の3653億円──。2017年度もふるさと納税の利用額が増加した。伸び率は鈍化したものの、受け入れ額は過去最高。受け入れ額上位には、全国の名産が選べる大阪府の泉佐野市や、ウナギや宮崎牛がもらえる宮崎県の都農(つの)町など、「返礼品」が魅力的な自治体が並んだ。
その裏で、深刻な問題も起こっている。住民税の流出という問題だ。
大都市から住民税が流出
ふるさと納税の寄付者は自己負担額2000円を超える分が所得税、住民税から控除される。そのため寄付者が居住する自治体では、本来入るはずの住民税が失われることになる。出額2位の東京・世田谷区では2017年度に40.8億円の税収が“消滅”した。保坂展人区長は「40億円は学校1〜2校分の建て替えに必要な額。毎年1校ずつ実施してきたが、こうした行政サービスができなくなる」と強い懸念を示す。
同区では2008年のリーマンショック時に税収が100億円近く減り、その穴埋めに約4年かかった。「今後も流出が続けば、当時と同じような打撃になる」(保坂区長)。
総務省が過剰な返礼品を自粛するように呼びかけていますが、それを無視する札付きの悪徳自治体がすくなくありません。
すでに何度も申しておりますが「ふるさと納税」は事実上の官製脱税です。
しかも本来税金として徴収できるはずの税金が返礼品と手数費用でほぼ半分が消えています。つまり単純化すると100の税金が50に減って「悪徳自治体」のお小遣い、となります。対してそれを取られた自治体は100の損失を受けているわけです。
失われる住民税のうち75%は、地方交付税の基準財政収入に算入される。地方交付税の交付を受ける多くの自治体では、流出した住民税の4分の3は、地方交付税交付金の増額という形で補塡されるわけだ。
7月27日に総務省が公表した統計資料によれば、2017年度に最も住民税控除額が大きかった市区町村は103.7億円の横浜市。以下、名古屋市、大阪市など大都市が並ぶ。だが、これらの市は前述の補填が受けられるため、実質の流出額はその4分の1になる。
横浜市をはじめ多くの自治体が補塡を受ける一方、独自の税収で財政運営ができる東京23区や川崎市などはそもそも交付税を受けておらず、ふるさと納税で多額の住民税が流出しても補塡がない。
てめえが得すれば、他人から金を奪っていいというのは犯罪者の思考です。
まさか安倍政権はこれによって、都市部を疲弊させて、地方の人口減を防ごうと思っているのでしょうか。そう思われてもしかたありません。
本来の「ふるさと納税」の趣旨であれば、返礼品は必要ないはずです。
そうであれば、これほど巨額に「ふるさと納税」が膨れ上がることもなく問題にはならないったでしょう。
また、今回の水害のなどへの「ふるさと納税」は本来あるべき姿だと思います。
過剰な返礼品をやめない自治体は総務省が名前を公表していますが、それでもやめていません。
つまり恥を知らない、自治体ということになります。
こういう自治体は自分たちで税収をあげることが不可能な無能で強欲な自治体です。
「ふるさと納税」はこのような禁治産者的な自治体に対する麻薬のようなものです。
ギャンブル依存症の親父に小遣い与えてパチンコに活かせるようなものです。
このようなモラルハザードを生む制度を作り、また指導しても聞かない自治体を放置することはモラルハザードを生むだけではなく、多くの税収を生み出している都市部の自治体を疲弊させて、なおさら国全体の税収を減らすことになるだけです。
地方へのバラマキの衆愚政治が自民党の仕事ならば自民党に政党としての存在意義はありません。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年8月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。