こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
私は「総理大臣を目指す!」と公言して政治家をやっているくらいですので、世間の多くの人が口々に
「もう日本はオワコンさ、海外に行った方が…」
なんて言う中で、「諦めるなよ!日本の未来は明るいよ!」と松岡修造ばりに熱く励ますタイプの人間なんですが、そんな私ですら
「やべえ、やっぱり日本終わるかも」
と絶望感すら感じる政策の一つが「軽減税率」であります。
消費税増税の際に、食料品などの「(低所得者に必要とされる)生活必需品」に関しては低税率に据え置くという「軽減税率」ですが、
・複数税率の処理が複雑過ぎて、納税者やIT業者にとって負担が莫大
・何をもって「生活必需品」とするのか、権力者による恣意的な判断が可能になる
・そもそも低所得者への支援効果は薄く、現金給付などの方がシンプルで効果的
・先進事例である欧州でも評判は悪く、直近の消費税(付加価値税)導入国では採用されていない
など、重大すぎる欠陥があるため私は断固反対で、折に触れて反対論をブログでも展開して参りました。
過去記事:
「軽減税率は先進国の常識」の大ウソ!欧州の「失敗」を繰り返さないために…
そして「うちの業界の製品も軽減税率の対象にしてくれ」「ならうちもだ」というロビー活動合戦が展開され、政財界の癒着など社会的コストが爆増するという懸念は現実のものになりつつあります。
出版団体、政府と軽減税率で対立 「有害図書以外適用を」(産経新聞)
出版社団体が本格的に動き出したのは6月中旬。超党派の国会議員でつくる「活字文化議員連盟」と「子どもの未来を考える議員連盟」が東京都内で合同総会を開き、書籍や雑誌に対し軽減税率を適用するよう求める活動方針を採択した。方針案をまとめたのが、日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会の4団体だ。
業界団体が国会議員に働きかける→国会議員が政府と対峙して綱引き開始。
こういう事例は、今後あらゆる分野で起きてくるはずですし、新しい製品分野が登場する度に議論を呼ぶことになります。
ちなみにこうした「歪み」の代表例が新聞です。既に「新聞」がしれっと軽減税率の対象となっていることもおかしな話ですし、ここに対して小泉進次郎氏が敢然と異を唱えていることは偉いのですが、大メディアも他の政治家たちも総スルー状態となっています。
小泉進次郎氏、新聞への軽減税率に異論「テレビも新聞もほとんど流してくれませんよ」(ハフポスト)
税制というのは「シンプルで公正に」というのが大原則であり、この大原則が歪めばいずれ国民の不満が増大し、社会は不安定になって活力は失われます。
このように政治的思惑や駆け引きで税率が決まってしまう仕組みは「シンプルで公正」からかけ離れたものであり、日本の国力を敢えて失わせようとする「世紀の愚策」と言わざるを得ません。
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残念ながら現時点では、公明党の強い意向によって導入が既定路線となっているこの軽減税率ですが、そもそも自民党内には異論が強く、直近でもNewsPicksのコメント欄で平将明代議士(自民)が
「軽減税率導入はやめた方がよい。来年予定されている消費税増税を延期して、マイナンバーを活用した給付付き税額控除を導入した方が合理的。」
と明確に反対意見を表明しました(引用元)。
石破氏、軽減税率に疑義 「減収はイージス艦6隻分」(朝日新聞)
9月に行われる自民党総裁選で石破氏が「軽減税率断固阻止」を大きく掲げるのであれば、私はこの一点だけでも石破氏を強く支持したいくらいです(党員でもなんでもありませんけど…)。
これに対してはすでに菅官房長官が「公明党との信頼がなくなる」と牽制するなど、つばぜり合いが続いています。
ぜひともこの「軽減税率」が総裁選の一大テーマとなり、サマータイム同様にデメリットが把握されないまま「なんとなく国民が賛成」している状態が覆り、改めて導入が見直されることを期待してやみません。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。