「文春オンライン」に安田峰俊氏と古谷経衡氏のお粗末な対談が載っている。「 “ゲイのネトウヨ”は『杉田水脈発言』をどう受け止めている?」とか言うタイトルからして胡散臭いのだが、困ったやりとりもある。
安田 そうですね。実は最近の日本の外国人犯罪の検挙件数の1位ってベトナム人で、中国人は2位。韓国人になると、ブラジル人よりも下の4位です。ネット右翼の排外主義が中国人と韓国人だけに向けられるのは、「実害」とは無関係と言っていい。
古谷 観念上の陰謀論なんですよね。いつの間にかその存在を立証できなくなり消えていった「在日特権」なるかけ声と同じです。
ところが、この外国人犯罪の検挙件数というのは、旅行者その他の「来日」外国人についての数字である。対談している二人は以下の記事を見たのだろうと思う。
来日ベトナム人の犯罪急増 中国上回る
2017年に全国の警察が摘発した来日外国人の犯罪1万7006件(前年比20%増)のうち、ベトナム人による事件が5140件と3割を占め、統計を取り始めた1989年以降、国籍別で初めて最多になったことが警察庁のまとめで12日、明らかになった。前年まで最多だった中国を439件上回った。( 毎日新聞2018年4月12日)
つまり、いわゆる在日韓国・朝鮮人や台湾出身の特別永住者などは含まれていないのである。
このことに限らないが、『在日疑惑』など典型的だが、日本人が必要以上に、中国人や韓国人の浸透を警戒しているのかもしれない背景には、実態が分からないからということがある。
犯罪報道などでも、新聞によっては通名だけで本名を報道しないところもある。NHKは社内にどの社員が外国人であるかも明らかにしていないし、外国籍の人がどのくらいいるかも発表していない。
フランスでもアメリカでも、国籍も出自も分からない人間が、ひそかに、NHKのような社会の中枢に進出しているというようなことはありえないのだから、日本でも、いちおう、警戒し監視を怠らないのは当然のことである。
こうした問題について、私もいろいろ勉強しているのだが、ともかく困ることは、実態を知ることが非常に難しいことだ。公的機関も調べようとしないし、海外ではあり得ないくらい、国籍開示についての情報開示が必要ないことになっているので、私も自信をもって実態を論じることができないのだ。
そこで、根拠のない安直な“在日疑惑”の指摘などがあると個別に間違いを指摘しているが、自信がないので、一般論としてはあまり議論を展開していないのだ。
しかし、今回は、「文春オンライン」という権威ある媒体が、間違った数字を使って、自信をもって、なにも心配する必要ないと断言されていたので、ささやかながら、問題の所在を指摘させていただいておく。