逆転の発想?NYファッション・ウィークで有名ブランドがAIを使うと…

お茶の間で人気のセレブをCMにフィーチャーしたり、名字をラベルにしたボトルを販売したり…販促の方法は様々です。

その一方で、ビッグデータやAIを駆使した最先端のテクノロジーを活用する企業も数多く存在します。筆者の心に刺さったのは、ある有名ブランドの活路の見出し方です。

米国で1906年に誕生した米系スポーツ衣料メーカーのニューバランスと言えば、フィットネス大国の日本では足元、ランニング・シューズとしても人気を博しますね。同社が、9月に開催されるNYファッション・ウィークで、再びその歴史ある不動の存在感を遺憾なく発揮しそうなのです。

ニュ—バランスがマーケティング会社VMLの協力を得て展開するキャンペーンの名前こそ、”例外であれ(Be The Exception)”。こちらによれば、NYファッション・ウィークのキックオフに合わせ9月6日から、ファッションの聖地ソーホーにブースを立ち上げ、顔面以外、即ちファッションの分析を行います。人間が担当するならば、趣味趣向が反映され、バイアスが掛かってしまいますよね?そこで、Aiアルゴリズムが登場します。ブースの外を行き交う人々のデータを基に、ファッション・センスがユニーク、つまり一般的なセンスとズレていらっしゃる方を抽出。該当者に、89.95ドルの”Foam Cruz Nubuck”スニーカーが提供されるというキャンペーンです。

ファッション・ウィーク開催中のソーホーは、シャッター・チャンスを逃すまいと全世界のファッショニスタが集うので、サンプル数の豊富さは間違いなし。


(出所:Bruno Cordioli/Flickr)

こうした流れは、いわゆるダッド・シューズと呼ばれるスニーカーの流行に沿うものです。”ダッド=お父さん”が履いているようなシューズが足元で流行中ですよね?ニューバランスは、その半歩先を行くマーケティングで、ライバルに迫ります。

同社の戦略が成功するか否かは、女性へのアピールが運命のカギを握ることでしょう。NPDグループの調査によれば、2017年に米国でのハイヒールの売上高は前年比12%減だったところ、女性向けスニーカーは37%増でした。日本でもハイヒールで闊歩する女性はめっきり減った感がありますが。米国でも同じ流れが浸透しつつあるもよう。女性はワーク・ライフ・バランスだけでなく、足元のニューバランスも考えるようになってきました。

(カバー写真:j-No/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年8月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。