英会話だけでは無理!米国留学、外資系勤務で一番重要なことは?

こんにちは!黒坂岳央(くろさか たけを)です。

アメリカの大学に留学して専門分野を英語で学ぶ、外資系企業で外国人社員と一緒にプロジェクトを進めていく、このような場面で最も重要なのは「英会話力」と思っている人はとても多いです。しかし、私は両方経験してきてまったくそうではないことを心底痛感しました。

大学留学、外資系企業勤務をする上で最も重要なスキル、それは英会話力などではなく「リーディング力(読解力)」なのです。

独学による読解訓練だけで、2000人中の1人に

私はほぼ英文を読解する学習スタイルで英語力を身につけました。詳しくは著書『中学レベルの僕が「読むだけ勉強法」で英語をペラペラ話せるようになった!』で紹介していますが、とにかく大量の読解をこなしてきました。

私が通っていた外国語大学の短大部では、周囲は英会話の訓練に奔走していました。その狙いは「学位留学」や「交換留学」という学内の留学制度です。学費、生活費など一切の費用を免除してもらえる留学プログラムは、渡航先の大学で専門分野を学ぶことができ、経済的負担も小さいので親孝行にもなり、そして何より自分自身のキャリアアップになるのです。

周囲は必死に英会話を勉強している中、私は毎日毎日ひたすら英文読解を続けていました。常に自分の現在のレベルを冷静に客観視しながら、読解を続け、リーディング素材のレベルを徐々に引き上げる、ということに時間を使っていました。英会話練習は時間がもったいないので、ほぼ0です。また、留学に必要なTOEFLテストについても、私はまったく対策をしませんでした。とにかく淡々と大量の英文を毎日読む、やっていたのはそれだけです。

短期大学部に在籍していたのはざっくり2000人くらいです。全員が留学を目指していたわけではありませんし、受験者数は分かりません。しかし少なくとも数百人はいたと思います。私の必修のクラスだけの話で言えばクラスの3分の2くらいは留学を目指して勉強をしていました。

で、結論的に交換留学、学位留学の選抜試験に合格できたのは短期大学部の中で4人のみ。その4人の内3人は帰国子女とハーフで、純粋な日本生まれ日本育ちは私1人でした。大学の授業はそこそこにこなし、時間の大部分を読解に充てていた努力は裏切らず、無事にアメリカ・シカゴの大学に留学する権利を勝ち取ることが出来たのです。周囲には驚かれました。周りは私が図書館で黙々と本を読んでいる姿しか見たことがなかったからです。

「図書館の中でどんな勉強法で突破したの??」と数え切れないほど聞かれましたが、もちろん答えは「英文読解だよ」でした。本当にほとんどの時間を読解に充てていましたのでウソでもなんでもありません。

リーディングができないと卒業が不可能なアメリカの大学

留学先の大学でも読解で成果は存分に発揮されました。アメリカの大学ではとにかく大量のリーディングが課せられます。1つの授業で

「次の講義までに100ページ読んでレポートにまとめなさい」
「次回はディスカッションをするから、しっかりと読んでおくように」

そんな具合です。そんな授業がいくつもあるので、アメリカでやっていたのは真夜中までひたすら読解。読解したテキストの内容をレポートにまとめて提出し、試験を受け、ディスカッションやプレゼンをこなします。アメリカの大学留学の学習は、常にテキストや資料を読解した上で成り立っています。「日常会話はものすごく得意だけど、読解は苦手」という人はアメリカの大学では生き残る事ができません。

また、図書館で勉強をしていると驚かされるのは、周囲のアメリカ人や留学生はみんな夜遅くまでテキストの読解や勉強に励んでいることです。私は毎日、2時、3時の夜中まで勉強をしていましたが、そんな時間でも必ず他に勉強をしている人がいました。

だいたい最後まで残っているのはアジア人が多く、アメリカ人も21時・22時は平気です。大学の授業が終わるやいなや、友達とパーティーで騒ぐ…なんて光景は見たことがありません(週末だけは遊んでいる人はいましたが)。みんな勉強熱心で本当に驚きましたね。で、やっていたことはテキストをしっかりと読み、自分の意見をまとめて、次の講義で発表するというサイクルの繰り返しです。そう、アメリカの大学で見た真実とは、膨大なリーディングの課題をこなすというものだったのです。

外資系企業でもやっぱり重要なのは「読む力」

大学を卒業し、外資系企業に入った時に私はアメリカの大学で学んできたことがそのまま活かせることを実感し、とてもありがたいと感じました。なぜなら外資系企業で働く上でも必要なのは「読解力」だったからです。

外資系企業では大学のようにテキストを買い、リーディングの課題はありません。その代わり、マニュアルや資料を読み込んで、ビジネスや課題を理解し、問題や解決策を上司にレポートをしていました。私がグローバルな経営企画の部署で働いている時はまさにこのサイクルを毎日こなしていました。ビジネスの課題を洗い出したり、アメリカ本社のシステムを導入するために資料を読んだりディスカッションをしたりといったものです。

ハッキリいって英会話はそれほど流暢でなくても務まります。なぜかというと、100%完璧な英語でなくても自分の専門分野、担当分野を相手に分かるように伝えることができればOKだからです。ですが、資料を読み込むのは英文の読解力がなければ何も始まりません。何百ページもあるドキュメントやマニュアルをわざわざ日本語に訳してくれる人なんていませんから、「これくらい読めろよ」という感じです。

情熱的なプレゼンテーションや、多国籍な人種が会議室に集まってディスカッション、というイメージをお持ちの人も多いかもしれませんが、外資系企業でも重要なのはやっぱり「読む力」なのです。

英会話だけやっていても大学留学、外資系企業勤務は無理

あなたが目指す英語のゴール、それが「海外旅行で現地の人に軽く挨拶がしたい」ということであれば、英会話の練習を重ねるのも一つの選択肢だと思います。きっと、その英会話の練習の努力は裏切ることはないと思います。しかし、そうではなく海外の大学に留学して専門分野を英語で勉強したい、外資系企業や海外に駐在してビジネスマンになりたいという事であれば絶対に英文の読解力が必要です。英文読解をせずに、そのような夢を実現することは不可能なのです。私が経験した、アメリカの留学先での膨大なリーディングの課題や、外資系企業でドキュメントを読んで理解する場面、これらを読解力なしで乗り越えることは不可能です。

ぜひ英文読解の訓練を重ねて、お金をかけずに真の英語力を身につけるようにしてください。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。