いつか来るポスト安倍時代の首相像はかくあるべし

八幡 和郎

『「反安倍」という病』(ワニブックス)がこの週末あたりに出るのだが、この本の末尾は「いつか来る”ポスト安倍”時代を読み解く」というタイトルの章だ。

いくら安倍首相が近来、まれにみる名宰相であり、トランプ大統領との相性とかG20の議長として続投してもらう必要があるといっても、普通にはこれが最後の任期だろう。

官邸サイトより:編集部

第一に自民党の総裁任期は三選までだから、四選のためには、また、規定の改正が必要だ。

第二に東京五輪と天皇陛下の交替が終わったらひとつの区切り。

第三に世界の指導者を見ても、10年を超すのは少し長すぎる。やっぱり安倍首相ということになっても、いちど、休んだあとのほうがよい。

私はこんどの総裁選挙で選ばれた総裁は、参議院選挙とかの結果によって辞めるのは、かなりの惨敗でも反対だ。政権交代は総選挙で負けたときだけ、あるいは、総選挙を睨んでにするべきだ。

原則としては、任期満了まで総裁をつとめるのが原則であるべきだ。もちろん、病気などは別だ。そうでないなら、次の総選挙を睨んで、あらかじめ、総理総裁を交代してから臨んだ方がよいということで、東京五輪が終わったら勇退して、しばらくしてから総選挙にするか、あるいは、来年、いちど解散して、そののち、ある程度の時間が経過したのちに交代するとか、総裁任期を数ヶ月から一年残してというのはありかと思う。

もちろん、憲法改正の国民投票の結果を受けて花道であれ、不信任と解釈して辞職するかということはありうる。しかし、国民投票に進退をかけると、内容とは関係なく、反対票を増やす方に働くというのは、近代政治が教えるところで、安倍首相はそんなことしないと思うし、すべきでもない。

それでは、ポスト安倍はどんな人にすべきか。ここでは、具体的に誰というのでなく、一般的な条件を挙げておく(詳しくは拙著参照)。というのは、ここであげるような条件をわれこそは、ポスト安倍と思う人は満たすべく努力して欲しいからです。私が石破氏をポスト安倍として「論外」と思うのは、その資質とか政治経歴以上に、総理候補として自分を磨く努力をしてこなかったと思うからだ。

①高い知的能力と専門的知見

大統領や首相は、世界のどこの国においてももっとも高い知的能力が要求される仕事だ。「庶民感覚」は大事ですが、知力まで一般平均並みで良いはずがない。そして、歴史、政治、外交、法律、経済についての専門的知識なども不可欠だ。もし苦手な分野があれば、きちんと基礎から勉強しなくてはいけない。

専門知識がなくても適切なアドバイザーがいればいいという人もいるが、サミットなど多国間会議など、その場で自分で判断しなければならないことが多くなる。

②重要閣僚ポストなどの経験

「外務、大蔵・通産の三閣僚と、自民党三役を二つずつ経験するのが首相の条件」と言ったのは田中角栄だ。相応のポストの経験を総理の条件にすべきだし、逆に、将来の宰相候補にそうしたポストを積極的に経験させたいものだ。

きちんとした社会人としての職業経験や、一家の生計を担うという経験も大事なことだ。ずっと親がかりの「政治家ジュニア」など、学校を出たとほぼ同時に政治の世界に飛び込んだという人には、何か足りないものを感じる。

③本格的な国際経験と語学力

首相の個人的な評判は、当然その国のイメージや発言力にも関わる。国際問題について相当な識見を必要とされるのは当然ですし、それに加えて、外国人との交渉術、社交能力、プレゼンテーション能力も問われる。

④優秀なブレーン集団をあらかじめ持つ

首相を狙うような政治家は、個人的に信頼できて、考え方も合うブレーンやスタッフをあらかじめまとめておくべきだろう。

⑤国民に対する誠実な対応と説明能力

政治家は、知見があったり仲間内での調整能力に優れているというだけなく、一般国民に向かってわかりやすく説明できることも必要だ。

⑥タフな肉体と精神

首相の仕事は非常な激務だ。しかも、常に注目されているので、緊張感も並大抵ではない。そんな環境では、肉体的にも精神的にもその重圧に押しつぶされない逞しい肉体とタフな精神が必要となる。

⑦個人的なスキャンダルをあらかじめ整理すべし

日本では選挙への出馬や重要ポストへの起用は、ほとんど準備期間がなく行われます。そのため、十分な身体検査なしに公職についたあとで対応に苦慮することが多いです。自ら過去について禊(みそ)禊(みそ)ぎを受けるべく努力をすべきだ。

あらかじめ始末さえしておけば、深刻な問題にはならなかったケースが多い。野田聖子総務相などどうしてそのへんをちゃんとしておかなかったか不思議だ。

八幡 和郎
ワニブックス
2018-09-07