天災に学ぶ

北海道胆振東部地震、台風21号、西日本豪雨等で被災された皆様、心よりお見舞い申し上げます。

北海道厚真町では行方不明者の捜索が続き、全道では電気や水道といったライフラインもいまだ全面復旧に至らず、余震とともに大変不安でおつらい毎日が続いていることと思います。

台風21号の爪痕も関西空港を筆頭にあまりにも大きく、大阪や和歌山など猛暑の中でいまだ約10万戸もの家屋が停電を余儀なくされており、被災された各地での一日も早い復旧を心からお祈りしています。

打ち続く天災を受け、作新学院では募金活動を行っていますが、7月初めに発生した西日本豪雨災害への義援金としては夏休み前に約160万円が寄せられ、既に全額を被災された愛媛県・宇和島のミカン農家の方々、広島県・呉市、そして日本赤十字社へ送らせて頂きました。

ご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。

西日本豪雨災害を機に、学院では学外の作新関係者の皆さんからも義援金を寄せていただけるよう、ネットを通じて被災地へ募金ができる「Web募金」を開始しました。

「F-REGI寄付金支払い」という寄付金収納サービスを活用したクレジットカード決済で、どなたでもどこからでも作新学院を通じて被災地に義援金を送ることができます。

「作新学院オフィシャル・サイト」のトップページにバナーがございますので、一人でも多くの方々のご協力をお願いいたします。

また、東日本大震災以来続けて参りました創立記念日の街頭募金活動ですが、今年は9月29日(土)正午から実施させて頂きます。

場所は、例年通りオリオン通り・シンボルロード交差点、また今年は初めてインターパーク(FKD)でも行います。

特に週末で多くの人出が予想されるインターパークでは①南側入り口と②北側MOVIX脇の2ヶ所を予定しています。

8連覇を果たし第100回甲子園大会に出場した選手たちも募金箱を持って呼びかけをさせて頂きますので、どうか皆さんお誘い合わせの上、ご協力をよろしくお願いいたします。

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災害が続いて恐ろしいのは、新たな災害へと報道が集中してしまい、その前に起こった災害により今も変わらず逆境に置かれている皆さんのことが、人々の記憶から消えてしまうことです。

つい二ヶ月前の西日本豪雨災害により命を落とされた方は200名を超え、
各地で未曾有の浸水害、土砂災害が発生、「平成最悪の水害」と報じられました。

被災した各地ではいまだライフラインや交通網が断絶、多くの方々が今も大変な生活を余儀無くされています。

もちろん私自身、小さな頭ですし非力ですから大したことはできませんが、それでも学院を通じて行う支援は、規模は小さくともできるだけ息長く、子どもたちによる“心の支援”を中心に、とにかくその被災地が復興するまでずっと応援させて頂き、見守らせて頂きたいと思っています。

東日本大震災の発生以来、作新学院では幼稚園から高校までの各部で、生徒会、地球環境クラブ、チームテレサ、ボランティア部などに所属する社会貢献意識のより高い児童・生徒たちが中心となって、様々な支援を続けてきました。

7月初めの西日本豪雨でも、集まった義援金の送り先について生徒たち自身が議論し、日本赤十字社に全額を託してしまうのではなく、特定の被災地にもお届けして、お互いに“顔の見える支援”をさせて頂きたいという意見をまとめました。

そして支援させて頂きたい希望先を何カ所もピックアップし、さらに話し合った結果、愛媛県宇和島市・玉津地区のミカン農家さんと、広島県・呉市の2ヶ所が支援先として決まりました。

作新学院が位置する栃木県も農業県なので、農家の皆さんを支援したいという気持ちが子どもたちには強かったようです。

ただこれから先、ミカン畑の場合、土地ごと流されてしまったミカン畑を復興しミカンが実るまでに10年、さらにその木が成長して多くの実をつけ収益が上がるまで更に10年かかると言われています。

できることなら、子どもたちには節目節目でミカン畑を訪ねさせて頂きたい、そしていつの日か支援を始めた子どもたちが自分自身の子どもの手を引いて玉津のミカン畑を訪れ、一緒に収穫作業をさせて頂ける。

そんな日が来ることを、今から夢見ています。

ただこうした学院の思いは、被災地の皆さんに果たして受け入れて頂けるのか、実はとても不安でもありました。

少額な義援金しか送れないのに心の支援などと言われても、被災された皆さんはその日一日を生き抜くだけでも大変なさ中、かえってご迷惑をおかけしてしまうのではないか…

実はすべて、私たちの独りよがりに過ぎないのではないか…

そんな気がして、被災地へ直接連絡させて頂くことも随分と躊躇していました。

ただ、とにかく生徒たちが話し合って決めたことなので、連絡だけでもと担当教諭が動いたところトントン拍子に話が進み、9月5日に玉津地区で開催された復興総決起大会に、学院の子どもたちからのメッセージボードと手紙をお届けすることができました。


復興大会が終わると、間髪入れず玉津の皆さんから大会当日のお写真とメッセージが届きました。

右端ののぼり旗には、「手のひらサイズの太陽を育てる町」の文字が。

あぁ、そういう思いで玉津の皆さんは、一つひとつのミカンを大切に育ててらっしゃるんだな、と胸が熱くなりました。

お送りした義援金は、ミカン産業に欠かせないスプリンクラーの修理やモノレール購入にお使い頂けると、丁寧に教えて下さいました。

送ってくださった沢山の写真の中から、この文章の締めくくりにご紹介したい最後の一枚。

品格のある「玉津」の文字が藍地にキリッと染め抜かれた法被姿も、玉津のミカン農家の皆さんの誇りと心意気を実感しますが、そのお隣のシャツに刻まれた言葉も胸に沁みます。

諦めない強さを
いつだってみかんが

教えてくれた

打ち続く災害によって、ともすると不安と自信喪失のスパイラルに沈んで行きそうなこれからの日本。

でも、今こそ謙虚に大自然の声に耳を傾け、その教えに学ぶ時なのだと、玉津の皆さんに身をもって教えていただいた気がします。

手のひらサイズの太陽を育てる皆さんのため、作新学院の一人ひとりも“手のひらサイズの支援”を息長く続けて行きたいと思います。

どうか一人でも多くの皆さんからのご支援を、被災された各地へよろしくお願いいたします!


編集部より:この記事は、畑恵氏のブログ 2018年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は畑恵オフィシャルブログをご覧ください。