精神科医が解説!日記を書いてアウトプット力を磨け

尾藤 克之

画像は筆者撮影による

5年ほど前から、書籍記事を投稿するようになり、すでにビジネス書を中心に1000冊以上を紹介している。旬な情報を提供したいので新刊が中心となる。実は、今年の8月に紹介した書籍で現在、話題沸騰中の1冊がある。それが、『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑著、サンクチュアリ出版)になる。

東洋経済オンラインが毎週発表している『「アマゾンで売れたビジネス書」トップ200冊』という指標がある。これは、アマゾン協力のもと、東洋経済オンラインが毎週発表しているランキングで、売上上位200冊のみが記載される。過去1位にランキングした本は、時代を映し出した名著が多く、著者としても大変な名誉とされる。

最近では、「1分で話せ」(SBクリエイティブ)、「お金2.0」(幻冬舎)、「LIFE SHIFT」(東洋経済新報社)などが1位を獲得している。『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)は、今週号(9/11)で1位を獲得した。今回、読者からの要望が多かったので、樺沢医師のコメントなども交えながらルポ形式による記事を投稿したい。

簡単で最高のアウトプット・トレーニング法

インプットを「アウトプット」することは難しくない。しかし、「アウトプットを始めよう!」「文章を書いてみよう!」と意気込むと、なかなか進まないという課題に直面することがある。このような時、どうすればいいのか。樺沢医師は、アウトプット・トレーニング方法として「日記を書く」ことを推奨している。

「書くことがない人でも、今日1日を振り返ると、何がしかの出来事が起こっているはずです。日記は書くことでメリットが得られます。それは、『アウトプット、書く能力が高まる』『自己洞察力、内省能力、レジリエンスが高まる』『楽しいを発見する能力が高まる』『ストレスが発散される』『幸せになる』の5つです。」(樺沢医師)

筆者は文章を書くことが多いが、たしかに毎日書くことで、アウトプットする習慣が身につくことは確かである。日記の場合は、自らを客観視することが可能になる。

「日記は、基本的にポジティブな出来事や、楽しかった出来事を中心に書きます。1日の中から『ポジティブ』と『楽しい』を思い出す作業を毎日行うことで、ポジティブ思考が訓練されて、日常の中から『楽しい』を発見する能力が高まります。『日記を書く』だけで多くのメリットが得られるようになります。」(樺沢医師)

「今日の出来事を文章に書く。これは『表現する』ことであり、内面に溜め込んだものを発散するということ。つまりストレス発散効果得られます。悩みごとを誰かに相談しなくても自分で紙に書いたり、日記を書いたりするだけでストレスが軽減することは、多くの心理実験により明らかにされています。」(同)

日記を書くことで幸せになる

日記を書くだけで幸福を感じることができるという研究結果がある。アメリカのブリガムヤング大学(Brigham Young University)によって明らかにされた。

「100人の対象者をグループにわけ、4週間日記をつけるように指示しました。ひとつのグループには、その日にうれしく思ったポジティブな出来事のみを日記に記すように指示し、もう一方のグループには、単純にその日にあった出来事について記すように指示しました。ポジティブな内容を記したグループは、その日にあったことを記すだけのグループに比べ、幸福度と生活に対する満足度が高いという結果が得られました。」(樺沢医師)

「さらに、対象者が、自分たちが書いたポジティブな日記の内容について、友達や愛する人に話して聞かせたところ、彼らの幸福度と生活満足度が2~3倍にも向上したのです。ポジティブ日記を書くだけで幸せになる。1日で10分程度日記を書くだけで、幸せになれるとするならば、それはやらないと損というものです。」(同)

しかし日記を書くことは、とかく3日坊主になりやすい。年始に「今年は日記を書くぞ!」と宣言しても、気がついたらやめているケースは少なくない。

「私がおすすめする方法は『ポジティブ日記』です。今日あったポジティブな出来事、楽しい出来事、うれしい出来事などを『3つ』書くというもの。最初は、箇条書きで3行書くことから始めて、慣れてきたら3つの出来事について、数行ずつ詳しく書いていく。箇条書き→短文→長文にステップアップしていくといいでしょう。」(樺沢医師)

「最初から長く書こうとすると、絶対に続けられなくなります。『長く書く』『名文を書く』のではなく、毎日続けることが重要です。さらに、ダラダラと長時間書くのではなく、時間を決めて書くことをおすすめします。ポジティブな出来事が少ないという人も、ネガティブをポジティブに変換して書くようにしましょう。」(同)

樺沢医師が独自のアウトプット理論を確立したのは40歳を過ぎてからになる。学びに年齢は関係ない。結果が出る「アウトプット術」。この機会にお試しいただきたい。

尾藤克之
コラムニスト