こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
9月13日は豊洲市場内(7街区)にて、一ヶ月後の市場開設を記念する式典が盛大に行われました。
市場内に椅子やスクリーンがズラッと並び、ブラックスーツの人たちが集まる光景は圧巻でした。市場開設後では、絶対に見られない光景ですね…!
式典では、「ついにここまできたという想いだ」という業界団体代表の挨拶や、江東区長の「色々なことがあったが、水に流して前に進もう」という言葉は、本当にこれまでの困難な経緯が偲ばれ、会場にいた全員の胸を打つものがありました。
さて、一方で開設者代表の知事挨拶。終始上機嫌で、予定になかった祝賀会まで出席したという小池知事。
前向きなのは良いことなのですが、どうしても、スピーチの内容や方向性に気になる点がありました。
豊洲市場を「食文化の新発信拠点」にすることにまったく異論はありません。東京都の全庁をあげて努力していただきたいと思いますし、私自身も全面的に協力して行きたいと思います。
しかしながらこれは、知事が昨年6月に発表した基本方針からは明確にズレがあります。
【小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成29年6月20日)より抜粋】
知事は基本方針の中で、豊洲市場は「総合物流拠点」としていく方針を発表していました。しかし、最近の市場に関する一連の会議や本日のスピーチでは、この方針については一切触れられておりません(文字起こしは未確認。少なくともこの方針を遂行する意思は感じられなかった)。
今日は「食文化の発信地」という点を強調していた小池知事ですが、基本方針の中ではむしろ食文化の拠点となるのは「築地」だったはずです。
6月20日の記者会見全文を見返していただければ明らかな通り、「食」という言葉は複数回出てくるものの、すべて築地市場に対する文脈で出てくるものです。
この時点では少なくとも、小池知事の中に豊洲市場を「食文化の発信地」とするお考えを見出すことはできません。
「築地に戻れるお手伝いをする」と豪語していた方針をあっさりと覆した築地再開発同様、選挙でお約束したはずの豊洲市場の基本方針についても、なんら説明がなされないまま転換されようとしているのではないでしょうか。
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私は、方針が変わること自体をすべて否定するつもりはありません。
計画や方針は変わることがありますし、豊洲市場を食文化の拠点として打ち出していく方向性はまったく正しいと思います。そちらに舵を切られることは歓迎です(築地再開発との整合性がますます謎になりますが…)。
しかし方針を変更するのであれば、
・どこをどう変えるのか
・それはどういう理由で変わったのか
・変わったことによる政治的責任についてどう考えているのか
などは、きちんと説明を果たす必要があると思います。選挙前に公約した「基本方針」なのだから、この説明責任はなおさら重たいものです。
小島氏が座長を務めたプロジェクトチームが赤字を指摘し続けてきた豊洲市場の経営計画についても、明確な改善策は示されないままです。
まずは開場作業が第一ですので、今すぐと申し上げるつもりは毛頭ありませんが、こちらについても近い将来にしっかりとビジョンを都民・事業者に示していただかなければなりません。
基本方針の変遷や豊洲市場の今後については、議会からもしっかりと知事の姿勢を質して参ります。
皆さまからも様々なご意見をお寄せいただければ幸いです。
それでは、また明日。
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※豊洲地域風評被害対策への寄付について
以前から表明している寄付については、受け入れ側の団体の体制・タイミングが整うのを待っている最中です。中長期的な話になるので、寄付することを焦って自治体などに寄付するより、少し遅くなってもベストな寄付先に届けたいと考えています。
寄付する金額は確保してありますし、このまま実行しないことは絶対にありません。引き続きこの点はしっかりとご報告させていただきます。
編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年9月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。