“日本初のブラックアウト”を体験された北海道民から連日、率直な思いをご投稿いただいております。
今回は、大停電を検証する第三者委員会が報告する内容について、札幌在住の会社経営、山田賢人さん(仮名)から「門外漢」とは思えない独自の視点で新たな停電の危険性を指摘します。
苫東厚真が再び全停止したら何が起きる?
三木奎吾さんの投稿「反原発でも同意可能。北海道に太陽光発電セット全戸配布を」(9月26日付)に賛同する道民の一人です。マスコミの無責任さと反原発の方々の頑迷さにはあきれておりますが、素晴らしいご提案ありがとうございます。でも太陽光発電セット全戸配布には確かに時間がかかりますね。
さて 9月21日に、今回の停電を検証する第三者委員会の中間報告があり、とりあえずブラックアウト時の北電の対応には問題はなかったとされ、10月に最終報告がされるようです。私も素人ですが北電が置かれた状況を考えると問題はなかったと思うし、地震直後の混乱や復旧作業の中で、北電職員や関係企業の皆様が昼夜なく働き、地震から3日弱でほぼ全道通電したことに、敬意の念と感謝の気持で一杯です。
ところで中間報告では停電発生当時の対応だけが検証されているため、厳冬期の電力バランスが分かりません。そこで自分自身の不安を解消するために下記試算表を作成してみました。間違いがあれば専門家のご指摘をお待ちしております。
この表は中間報告書の「地震発生直前の系統状態⓪」の縦軸に、開通予定の北本連絡系の3本目と厳冬期明けから稼働する石狩新港火力1号を入れ、横軸右方向には「地震直前の需要、夏季最大需要予測、冬季最大需要予測」の表を追加し、苫東厚真の供給力をゼロとして、不足分は発電準備完了の発電所をフル稼働させて、需給ギャップを確認したものです。その他は供給力を不変とし、音別は故障中だが稼働可としました。
この表からは再び苫東厚真が全停止となった場合
①調整運転中の重油火力である伊達2号と知内1号が直ちにフル稼働できれば、夏季のギャップは▲47万kw程度なので、奇跡的に強制停電に成功する可能性もあったが、強制停電に失敗すると再びブラックアウトが起きる(今回も深夜ではなく昼間帯の地震であれば、待機中の発電所の応援が間に合い対応できた可能性があった)
②強制停電に成功しても、強制停電を解消するためには、作業停止の苫小牧1号25万kw、苫小牧共同3号25万kw、知内2号35万kwをバランス停止状態にする必要があり、定期検査及び保守点検等が難しくなる
③冬季は16万kwのプラスではあるが、瞬発力では頼りになるが持続力に問題が残る水力頼みとなっていること(夏季に稼働した場合、渇水期の冬季に十分な水が残っているのか?)
④石狩新港火力1号機と3本目の北本連絡系が稼働後も余力は33万kw程度しかない
…といったことが言えます。
私にはこれ以上の知見が無いので、これをもって安全か危険か判断することができませんが、本能的に危機感を覚えます。マスコミの方は「泊原発が無くとも苫東厚真が無くとも大丈夫」または「苫東厚真は二度と再び全停電とならないので大丈夫」と言っているのでしょうか?不安でなりません。
今回無責任な報道を繰り返し、反原発報道に偏っているマスコミのなかに、ジャーナリストとしての矜持を持つ記者が生き残っているのなら、その取材力を駆使して真実を報道し、道民が抱いている不安を解消して下さることを切に願っています。
【編集部から】アゴラでは、実際に“日本初のブラックアウト”を体験された北海道民の皆様の率直な思いをお尋ねしています。
大停電のあとどのような影響が身近に出ているか?
原発とどう向き合っていくべきか?
あるいは結論を出せずに悩ましい思い。
安倍政権のエネルギー政策
高橋はるみ知事へのご意見
など、お待ちしております。
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