沖縄知事選:佐喜眞は玉城に追いついたのか?

沖縄知事選挙は、投票日前日の本日は、台風で荒天。明日は晴れそうだ。

情勢は佐喜眞陣営の巻き返しがようやく功を奏す一方、玉城陣営の翁長派と革新派の不協和音が目立って、20%あるといわれた差が急速に詰まり。予断を許さない状況のようだ。

地域的には、那覇で玉城がリード。先島は佐喜眞だ。那覇でも、首里や真和志といった翁長氏の地盤だったところで、玉城リードが大きい。これは、翁長氏に対する追悼ムードが強く、「将来はともかく今回は翁長氏の後継者に」という人が少なからずいるし、誇り高い首里などの人たちが、宜野湾市長という佐喜眞氏の前歴への反発もありそうだ。

また、那覇市では若い人たちに対する玉城氏の受けの良さがある。沖縄でもオールドメディアに頼る譲歩弱者たる高齢者では革新が強く、ネットに強い若年層では保守が強いのは本土と同じだ。

ただ、候補者としては、ラジオパーソナリティ出身の玉城氏の軽妙さや見かけの良さは、若い人にアピールできない革新派にとってはその弱点を補う賢い選択だ。また、玉城氏がハーフだというのは、沖縄では少なくともマイナスに働かない米軍統治について肯定的にはとらえてないが、ただ、当時はアメリカの最良の時代だったからアメリカ人のイメージは悪くないのだ。

それにハーフの玉城氏ならアメリカとよい交渉ができるのでないかと勘違いしているということもある。実際には、玉城氏が英語堪能でも国際感覚があるわけでもなく、佐喜眞氏が英仏語堪能でフランスに8年間もいたのだから欧米人との交渉はお手の物なのだが、錯覚はあり続ける。

八重山や宮古のような先島では、そもそも翁長氏は人気がなかった。やはり翁長氏は発想が沖縄の政治家でなく那覇の政治家だったと先島の人たちは言う。安全保障問題も、尖閣に対する沖縄本島の人の執着はもうひとつだが、石垣市を含む八重山では高い。もちろん、防衛問題でも基地がほとんどない現状が自分たちの安全を増しているなどという絵空事で単純にごまかされる人も少ない。

選挙情勢としては、自民竹下派、公明党のフル回転で、翁長票の回収はかなり進んでいる。なにしろ、もともと、翁長氏は竹下派であった。公明党を保守につけたのも自民党県連幹部としての翁長氏の功績なのである。そして、下地幹郎代議士も維新の熟練したスタッフのバックアップを応援を得て、これまでの下地陣営とはまた違った広がりを見えている。

というわけで、佐喜眞陣営の追い上げは強烈なのだが、はたして、投票日に結果がでるまでに間に合うかはなお微妙で不透明だ。

八幡和郎
イースト・プレス
2018-10-07