「未来とは、今である」に込められた時間の重み

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

先日、誕生日を迎えました。毎年、誕生日のたびに時間の重要性を再認識させられるものです。今回は私が大好きな「時間の名言」をご紹介します。

「今日は気分が乗らない…。明日からやろう」

そのようなセリフを飽きるほど言い続け、先送りを繰り返した経験を持っていないでしょうか?誰しも経験したであろう、今やりたくないことを未来へ押し付けるというこの行為。先送りしたはいいものの、その後未来でちゃんとやり遂げたでしょうか?その答えが「NO」ならここで時間の重要性について振り返るのも悪くはありません。

未来とは、今である

「The future is now.(未来とは、今である)」

これはアメリカの文化人類学者・マーガレット・ミードさんの言葉です。

過去も未来もない。あるのは今の連続性のみ

便宜上、コミュニケーションを取る上では「過去」「未来」といった表現を使いますが、私は「本当は過去も未来もなく、あるのは「今」という時の連続体のみ」と考えています。「過去」と「未来」を「今」から切り離された別世界のように捉えると、冒頭に述べた通りついつい今をないがしろにして、嫌なことを未来に押し付けてしまうものです。

「過去」は、その時々すべてが「今」の連続

過ぎ去った「今」を振り返って、

「あと10年若ければ結婚できたかもしれない…。今の20代がうらやましい」

と嘆く人も現在の20代が生きる「20代の10年間」を持っていたはずです。昔は持っていたその10年間をすっかり忘れ、あたかもはじめからなかったように悲しむ人は「30代の今」を大事に生きていないので、10年先の40代で必ず悔やむことになるでしょう。

人は過去にも未来にも生きられないのです。あるのは今、この瞬間だけ。今を後から観測したものが「過去」と呼び、先にある今を捉えたものが「未来」なのです。本当は過去も未来もなく、あるのはただただ今の連続体なのです。

過去、未来があるのは、今のため

私は過去や未来は「今」のために存在するものだと考えています。

過去を振り返るのは、「あの時はこうだったけど、今はこれだけ進んだのだな」と歩んできた道を観測し、今いる位置が正しいかどうかを見るため。未来のプランを立てるのは、充実した今を獲得するためです。

例えば投資。投資は未来に果実をつける種に、水やりや肥料を与える行為です。これもやはり、「理想とする今」を将来で獲得するためにやることです。ビジネスに力を入れるのも、同じことです。全てはよりよい今を得るため、過去も未来も存在すると言えるのではないでしょうか。

今を充実させるために過去と未来を使わなければ、永遠に実りはないのです。今やるのが億劫だから未来へ先送りしてしまうと、今やるべきだったことを未来でやることになります。その分時間は進んでいますから、今やっていれば他の出来ていたことができなくなってしまいます。「面倒だ。今日ではなく明日やろう」は与えられた今の時間を潰してしまう行為です。

過去も未来も今のために存在するという思考を持つことで、今という時がたちまち輝き出します。

「今」でないと出来ないことがある

「今、この瞬間」でないと出来ない事は結構たくさんあるということです。

お金より大事なのは「今という時の瞬間」です。今の20代に「100億あげるから80歳になるか?」と聞いても答えはNOでしょう。突然、80歳に歳を取っても100億円を有意義に使えないのでは、意味がありません。そういう意味では時間はお金より重要と言えるわけです。

お金以外にも今しかできないことはたくさんあります。友達と夜通し語り合って、朝焼けを迎える経験は若い時でなければ出来ません。大人になるとそれに付き合ってくれる人もいなければ、夜通し語り合う体力や楽しむ感性もなくなります。また、子供がいる人は小さくて「パパ、ママ」と全身全霊で愛情をくれるのは今だけでしょう。世界一周旅行も老体では難しくなります。今楽しまなければ永遠に楽しめなくなる未来が、確実にやってくるのです。

私が人生で悔やんでいること

私は今出来たことを先送りにして、ものすごく後悔したことがあります。それは「夜行列車の旅」です。

写真は雪国を走る寝台列車・カシオペア

ブルートレインカシオペアは私にとっては永遠の憧れです。夜、東京の上野駅から寝台列車に乗り込み、黒い空気の中を疾走する寝台列車の車窓から照らされる月夜を楽しむ。朝、底冷えする寒さで窓を開けると、一面の雪景色にいつの間にか北国に入っていた事に気づく…。そんな東京~北海道を寝台列車でゆっくりと移動する旅は私の憧れでした。10代の頃から寝台列車の特集雑誌を買って、その美しい雪景色を走る列車に想いを馳せたものです。しかし、その頃はお金がなくて寝台列車の旅は出来ませんでした。

私が少し経済的な余裕を獲得し、「そろそろ憧れのブルートレインの旅を検討しよう」と思った時、ブルートレインが廃線になっていることを知ったのです。10年以上憧れていた寝台列車による、北海道への旅は永遠の憧れのまま姿を消してしまいました。

「あの時、なぜ借金をしてでも行かなかったのか?」、そのことは今でも後悔しています。実際、乗ってみれば大したことないと思うかもしれません。これを読んでいる方の中で「いやあ、乗ったけどそんなにいいものじゃないよ」といいたくなるかもしれません。でも私は行きたかった…。寝台列車がいかに寝づらくても、退屈でもそうした不便さを丸ごと列車の旅として堪能してみたかった。でももうその機会は永遠に失われてしまいました。

今乗れるなら大金を払ってもいい。その想いは強いですが寝台列車はもうないのです。「いつかのろう!まだお金がないから今じゃない」と先送りをしたために永遠に消えてしまった雪国への列車の旅。小さくてバカみたいなこだわりに思われるかもしれませんが、この経験は「今できることは今すぐやろう」という強い決心を生み出しました。

あなたにもきっとある、「今できるけど明日しよう」。先送りをせず、今すぐ取り組まれることをオススメします。あなたは待っていても、相手はいつまでも待ってはくれないのです。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。