こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
次年度以降の政府による税の偏在是正措置がどうなるか、佳境を迎えています。
「偏在是正措置」とはざっくりいいますと、企業が多く立地して法人税が多い大都市(東京都、大阪府、愛知県)から、本来はその自治体に入るべき法人税を国が召し上げて、財政状況の苦しい地方に再配分するという方策です。
「豊かな大都市が地方を支えるのは当然だ」
「大都市が地方から人や企業を『奪って』きたではないか!」
という意見もあるものの、私もこの偏在是正には強く反対の立場です。
理由は多岐に渡りますが、そもそもこれはその都市に済む住民は行政サービスの受益に応じて税を納めるという、地方税の大原則に反するものです。
東京都民は、本来は自分たちが納めた税の対価として受け取るべきものを、他の地域に「奪われている」ことになります。
ただそれでも、こうした措置によって地方が活性化してきたというのであれば、まだこの不合理・理不尽な行為も正当化されるかもしれません。
しかしながら少なくともこの20年間、こうした地方へのバラマキ(是正措置)によって起こってきたのは、止まらない地方の衰退でした。
国からの大義なきバラマキ支援は地方の自立を妨げ、依存体質を定着させ、結果として国全体が地盤沈下してくことになります。
本来国がやるべきことは、権限や財源を大胆に地方に移譲して自立を促し、成長する大都市と切磋琢磨できる仕組みを創ることであって、とりあえず財政が一見豊かな大都市から収奪することは対処療法にしかなりません。
私もここで改めて、この理不尽な偏在是正措置については即時の見直しを強く求めるものです。
東京都が発表している見解についても、お時間のある方はご一読いただければ幸いです。
■
しかしその一方で、国や他の地方自治体に対する都のアプローチについては、その戦略や姿勢に課題があるとも感じています。
●地方法人課税の「偏在是正措置」に関する東京都の見解について(11月15日)
一昨日、東京都は改めて偏在是正措置に対する声明文を出しました。その直後となる昨日、
12月都議会に上程する補正予算案が発表されています。
補正予算案は、冷暖房施設の整備や老朽ブロック塀の除去など、必要なことに対する施策ではあるのですが、都独自の「上乗せ助成」も含まれる内容になっています。
「東京都、やっぱり財源があるなあ…」
という印象を持たれ、ツッコミが入ることは避けられません。
他にも、小池知事が陳情にいった国会議員の一人は後に、
「中央卸売市場(豊洲市場)に6,000億円かけたり、それをさらに数十億円かけて開場延期している中で、説得力がない」
という感想を述べていたという話も仄聞します。
こうした指摘や意見も含めて、東京都にまだまだ残存する無駄遣いをやめて徹底した改革を行わない限り、地方都市の方々の心からの理解を得ることはなかなか難しいのではないかとも思います。
中央卸売市場も含めて、都が所有する公営企業は一層の民営化を推し進めて、税負担を少なくする方策がまだまだあります。
偏在是正措置には反対するとともに、こうした東京都の改革についても同時に推し進められるよう、議会からの提言を続けていきます。
本件はネットラジオ「Voicy」でも配信しましたので、こちらも宜しければぜひお聴き下さい。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年11月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。