年末ジャンボの行列に並んで「貧乏くじ」を引いている人たち

年末の銀座で恒例になっている行列が、昨日から始まったようです(写真)。年末ジャンボ宝くじを買う人たちの行列です。

最高賞金は10億円。ここまで高額になってくると、夢が膨らみますが、現実は甘くありません。

宝くじの還元率は、45%程度です。購入した人が払った金額の半分以上は、宣伝費や地方自治体への交付金として使われます。

わかりやすく説明すると、宝くじを1000円買ったら、まず550円を差し引かれて、残りの450円を購入者の中で再配分する仕組みです。集めたお金から胴元が半分以上を差し引かれてしまっている「ほぼ確実に損をする商品」。つまり「宝くじ」ではなく「貧乏くじ」なのです。

また、宝くじは収入の低い人ほど購入金額が多いというのが世界的な傾向です。資産の少ない人から甘い話で富を巻き上げ、地方自治体などに再配分する。富の配分の仕組みとしては、間違えた方向性を助長するものです。

西銀座チャンスセンターというのは、宝くじファンの間では当選確率の高い売り場として知られているようで、当選しやすい窓口でわざわざ買いたい人が、長時間並んで順番を待っているのです。

しかし、これも行列ができるほど売れている窓口ですから、販売金額が大きく、その分当たる本数が多くなるだけのことです。確率を計算してみれば、どの売り場のどの窓口で購入しても同じなのです。

こんなことを書くと、また庶民に夢をぶち壊すなという批判があるかもしれません。しかし、ちょっと頭を働かせて計算してみれば「買ってはいけない」商品であるかが良くわかると思います。庶民の夢をかなえるのではなく、貧しい人をより貧しくする「貧乏人の税金」です。

宝くじを買う位なら、証券会社でインデックスファンドを積立する方が、よっぽど将来の資産が増える可能性が高いと思います。宝くじ売り場に長時間並んでいる人にこそ、マネーリテラシーを高めることの重要性を知って欲しい。毎年恒例の行列を見る度に、いつも同じことを考えます。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。