公務員給与は下がらず。勧告無視はおかしいだろ!

こんにちは。東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。

今回はあまりにも、憤りを感じたので一筆。
東京23区の「公務員給与」についてです。

写真AC:編集部

そもそも公務員(特別区)の給与は、どうやって決まるのか?

毎年、特別区内民間企業の給与実態を調査する。その実態をベースに、現状の公務員給与と比較し、第三者委員会である「人事委員会」が高いかどうか判断し、その差を埋めるべく「○○円アップしなさい」「○○円値下げしなさい」などと勧告を出すのです。各区長はこの判断を「尊重」して給与の改定を行います。

さて、今年の人事委員会による勧告はどうだったのか?

驚くべきことに、月給で平均9,671円という大幅な引き下げを勧告!!!

この金額は月給を平均2.46%引き下げるという大胆な提案であり、特別区職員の間では、大きな衝撃が走った訳です。

これは人事制度の改正が影響している。特別区では新たに、主任職を将来の係長職への昇任を前提としたポストと位置付けた。そのため、係長となって責任や負担が増えることを危惧し、主任職とならずにワンランク下のポスト(主事)にとどまることを選択する職員が続出。その結果、職種(ポスト)は低いけど、給与は高い職員が増加し、民間との比較で大きな乖離がでた訳です。

勧告理由などの詳細はこちら ↓
平成 30 年 職員の給与等に関する報告及び勧告

それにしても、約1万円の引き下げ勧告はインパクトがありますね。例年、勧告の通り給与の引き上げをしてきたので、当然、引き下げになるだろうと考えていたら。。。

23区職員の給与下げず、勧告非実施 区長会と労組妥結(日本経済新聞)

なんと!給与は下げないという。特別区長会と労働組合は職員給与を据え置くことで妥結。これまで人事委員会勧告を「金科玉条」とし、職員給与「値上げ」の根拠としてきたのに、「値下げ」の勧告は無視するとは。

特別区長会の西川会長のコメントによると、引き下げ勧告は「人事・給与制度の抜本的な改正の過渡期に生じた一過性の歪みが主 な要因」とした上で

民間企業を始め、国や多くの地方公 共団体において給与水準の引上げが見込まれる中で、有為な人材の確保がより厳しく なる恐れがあり、かつ、引下げの影響は特別区の常勤職員のみならず、多方面に及ぶ ことも懸念されます。

だそうです。なんとでも理屈はつけられるもので。

人事委員会勧告は、民間給与実態の調査が50人以上の事業所しか対象にしておらず、そもそも民間の実態を正しく反映していません。区民が納得できるように、勧告の在り方そのものを改善すべきと考えています。

ですが、さすがに、値上げについては盲目的に「勧告」に従い、値下げとなると、さまざまな理由をつけて「勧告」を無視するのは、まさにダブルスタンダードそのもので、区民の理解は得られないでしょう。

特別区長会は引き下げ勧告を無視することを決めましたが、各区の区長は、区長会の決定に従う必要はなく独自に判断できます。ぜひ、皆さんの地元区長がどのような判断をするのか注視して頂きたいと思います。

なお、維新の会所属議員がいる区では、据え置きという判断をした場合、厳しく糾弾する方針です。

東京都も給与改定を控えていますが、この話題はまたの機会に。

柳ヶ瀬 裕文
小学館
2017-05-15

編集部より:この記事は、東京都議会議員・柳ヶ瀬裕文氏のオフィシャルブログ 2018年11月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、やながせ裕文オフィシャルブログ「日々是決戦」をご覧ください。