自衛隊の89式小銃(とMINIMI)の弾丸はNATO規格のSS109と微妙に違っていて、実は互換性に問題があると現場の声をよく聞きます。
殆ど同じであれば同盟国やその他の国と同じ規格を導入してインターオペラビリティを確保するべきです。
64式小銃や74式機銃の7.62ミリ弾は基本NATO規格なので、弱装弾なのでこれまた互換性がありません。
よく自衛隊LOVEな軍オタさんたちがレギュレーターいじれば問題ないとか強弁していますが、机上の空論です。
有事に自国と外国製の弾薬が混在していちいちレギュレーターいじりますか?
それ以前に弾道特性も射程も違うので、急に弾を変えたら当たりません。
更に申せば64式はともかく機銃用の弾薬として威力も射程も短いことも問題です。
V-22に搭載するM3はNATO規格ですし、特殊作戦群向けのミニガン、狙撃銃もNATO規格弾ですから、早急に変えるべきです。
96式自動擲弾銃なんて完全に互換性がありません。
ですから、AAV7で導入されたMk19ランチャーと弾薬の互換性がありません。
率直に申せば「ニセモノなのでちょっと違う」というレベルです。
規格を同じにすると、外国製にしろと圧力がかかるのが嫌だからでしょう。
ですが、有事に必要な膨大な弾薬をリーンな我が国の生産ラインで製造ではきないでしょう。
弾薬が切れたらどうするんでしょうかね?
はっきり言えば平和ボケです。
国防よりも防衛産業の利権を守ることだけを考えている。
国産をなくせとまではいいませんが、訓練弾などは安い外国製品を入れてもいいでしょう。これは砲弾の信管などでも同様です。
諸外国では当たり前のようにやっています。陸自だってAAV7用の弾薬はラインメタル社製ですよ。
また国内市場の割にメーカーが多すぎます。これは財務省も指摘していますが、メーカーの統廃合も
必要でしょう。いつまでも国際価格から乖離した高額な弾薬を漫然と調達すべきではありません。
装備庁はNATO規格の採用に前向きですし、大綱や中期防もこの方向です。
弾薬調達の合理化は不可逆的ですが、スピードが求められます。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸自はMINIMI後継が検討されているが、輸入品のFN社のミニミ派生型と住友重機が開発中の国産機銃の一騎打ちになるも住重の開発が遅れており、性能も不安があるとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。