こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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さて、本題に。はてなダイアリーに面白い記事が出ていました。「リモートワークやってたら鬱っぽくなった」というタイトルです。最近、働き方改革の一環として、リモートワーク(在宅勤務制度)というものが注目されています。自宅で仕事をするわけですから、満員電車に乗る必要もありませんし、自宅で業務に集中できるので生産性も高いだろうと注目を集めていました。
しかしながら、蓋を開けてみると理想的だったはずのリモートワークで、心を病む人が現れたわけです。「多くの人が起業家やフリーランスにやれない理由」はこのリモートワークの難しさに通じるものがあると感じます。
一人で働く社会の登場
ネット環境の整備により、同じ場所に同じ時間に集まって、複数人で仕事をするという従来のワークスタイルが今、変わろうとしています。フリーランスや起業家へのハードルはITの登場により、限りなく低くなりました。また、会社員として働きながら、出勤して会社で働かない「リモートワーク」というスタイルが登場しました。
これにより、それまでは「芸術家」や、「作家」といった一部の仕事を除き、あらゆる仕事は「チームで働く」という世界が一気に開け、色んな仕事が自室で一人で出来るようになったのです。
一人で孤独に働くのは才能が必要
しかし、ITの台頭でソロワークが可能になっても、人の内面まではその変化に柔軟についていけるわけではありません。
会社員が職場で仕事をするといっても、勤務時間中すべての時間を自分の仕事に投入しているわけではありません。同僚と顔を合わせて挨拶をし、時には軽い雑談をすることで一日を過ごします。人は社会的な動物ですから、知らず知らずのうちに人とのふれあいや、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション心の安らぎを感じるわけです。会社に出社するが故に、きちんと身なりを整え、朝早く起き、上司がいるからこそ、緊張感を持ち、仕事へのモチベーションを維持し、何十年も勤め上げることが出来るのです。
突然、チームワークがソロワークに変わったことで、心のつながりが切れてしまったと感じる人が出てきたようです。まったく学校にいかず、完全に独学で一人で勉強出来る人が少ないように、ずっと一人で仕事が出来る人もまた多くありません。多くの人は孤独に一人で仕事をするのは難しいのです。これは技術上の問題と言うより、心の問題です。一人で孤独に働き続けるには、それを苦に思わない才能が必要なのです。
ソロワークに必要なのは環境ではない
起業家や、フリーランスとして働くことが注目され、「自由に好きなことで生きていく」と言われます。それを啓蒙する人も出てきて、「組織に縛られない理想的なワークスタイル」とキラキラ輝いて見える人も少なくないでしょう。
しかし、現実はそんなに甘いものではありません。今後の人生で稼ぎ続けるだけのスキルや知識を維持すること以上に、そもそもソロワークに向いた人は少数派という事実が立ちはだかります。強制力なくして、朝の早起きを継続し、上司不在で仕事を頑張り続け、他者からの厳しい評価に応え続け、道なき道を開拓し続けるエネルギーを出力し続けるのは、ある種クレイジーと呼んで差し支えないくらいの熱意がなければ実現出来ないのです。
ネットやリモートワークの環境が整えられても、会社に行ってチームワークでなければ仕事に集中できないのは普通なのです。私はソロワークに必要なのは、リモートワーク環境ではないと感じます。
一人で働けない人に会社は必要
最近、「いつまでも会社という集団に属して搾取されるのはやめろ」と言わんばかりに、サラリーマンをディスる人たちをネットで見ます。ですが、そのように主張する人たちは多くの人が自分と同じく、ソロワークが出来ると思いこんでいるように感じます。人はマシンではなく、血の通った社会的な動物ですから、誰しもが全員、ソロワークが出来て自由にのびのびと働けるというのは思い違いではないでしょうか。
世の中にはチームワークに向いた人と、ソロワークに向いた人がいます。極めて個人の能力に依存する性質の仕事に従事し、その分野で高い能力を発揮できるなら、チームワークはむしろ自分の能力を引っ張ってしまう働き方でしょう。しかし、チームワークで取り組むからこそ可能となるたぐいの仕事は、無理にチームから引き離すとかえって生産性が落ちるのではないかと思うのです。
ソロワークに向いた業務と人、チームワークに向いた業務と人。何でもかんでも、効率第一主義になるのではなく、適材適所をしっかり分けて生産性を高めることが、働き方改革の第一歩ではないでしょうか。
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黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表