国連歴代事務総長のなかで「最悪」と言われた潘基文が韓国紙にインタビューで登場して、なかなか真っ当なことを言っているので紹介する。こんど、『捏造だらけの韓国史 – レーザー照射、徴用工判決、慰安婦問題だけじゃない』(ワニブックス)でも最近の日韓関係を論じているが、そのなかでもこのあたりは取り上げている。
潘基文氏の記事は「中央日報」の『危機の韓国外交、元老に問う』という記事。「韓日外交、歴史を前面に出せば何もできない」となかなかまっとうなことをいっている(今回は2部構成の②から引用)。
--韓日関係がこのようにもつれると南北関係にも影響があるのではないか。
「その通りだ。今後、北朝鮮問題が解決することになれば日本も国際的、経済的に役割が生まれる。その時を備えてもいつも良好な関係を保っておくべきだが、国民感情がとても良くない。先月、日本で高位官僚や政財界関係者に会ったが、雰囲気がひどく冷笑的で驚いた。以前は慰安婦などのイシューを話す時、日本が守勢的な立場だったのに、最近は『われわれにも言うべきことがある』というふうに出てくる。韓日関係は今が最悪だ」
(意訳)北朝鮮の核廃棄が動き出して制裁解除になれば、日本にお金を出してもらわねばならないから、そのときのために、少し、関係をよくしておかないとまずい。しかし、日本の対韓国民感情がたいへんよくない。先月、日本の要人とあっていろいろ話したが、雰囲気が冷たかった。以前は慰安婦などを話題にすると、日本人は後ろめたいのか守りの態度だったが、最近は、『われわれにも言うべきことがある』とかいうように、反撃してくる。韓日関係は今が韓国にとって最悪だ。
(背景解説)北朝鮮の復興資金をアメリカは出すはずないし、中国に出してもらってもやばい。日本に当然出すべきだといって、大人しく出させるつもりだったのだが、これじゃ、本当にだすかどうか分かったものでない。これはちょっと困ったことだということだ。
だから、韓国には下手に出てはダメ。強く出れば、おとなしくなるのである。
ともかく、北の復興資金を「場合によっては出さないよ」というのは、日本の持っている最強の武器だということは、私はこれまでにも行ってきたとおりだ。
◆金大中に学べ…歴史が障害物になってはいけない
--突破口が見えない状況でどのような政策や戦略が急がれるか。
「金大中(キム・デジュン)元大統領から学びたい。金元大統領が98年に小渕恵三当時日本首相と歴史的な宣言をした時、当時韓日関係が良かっただろうか。いや、良くなかった。金元大統領が慧眼を持ち韓日関係が前に進んだが、(歴史問題が)障害物になってはいけないと考えて解決したのだ」
(意訳)金大中は賢かった。98年に小渕首相と歴史的な宣言をしたとき、日韓関係は何も良くなかった。しかし、金大中大統領はよく分かった人で、「歴史問題を持ち出して障害になると、なにも進まなくなって損する」と分かって対処したのだ。いまそれに学ぶべきだ。
(背景説明)意外に思う人がいるかもしれないが、民間人大統領になってからでは、金大中大統領のときに日本との関係はいちばんよかった。大衆文化の解禁なども行われた。歴史を持ちだして日韓がうまくいかないと困るのは韓国の方だと分かっていたので、世論の支持のために反日などということをしなかったのだ。